ナミダヤマ

…いや、一人ぼっちだけでは許してくれなかった。
血の繋がらない父親は、血の繋がらない母親を連れてきた。
きつく臭う香水とお化粧が、彼女がいかなる人物かを物語っていた。

そこから、仁華は、「ひと」りぼっちではなくなった。
…奴隷になってしまった。

学校なんて、月に数回行くものになっている。
近所の優しいはずのおじいちゃんやおばあちゃんも一切仁華を訪ねることがなくなった。 
ただ、血の繋がらない女のいうことを聞く毎日である。

すこしでも機嫌が悪いと、ナイフで切られたり、タバコを押し付けられたり、殴られたり…それが、仁華の日常になってしまっていた。