翔子と達也ふたりで、バッグに液体のシミがないかを慎重に確認した。軽く振ってもみた。バックの中にソマンの液は漏れだしていないようだ。これならみんな助かるかもしれない。達也が慎重にバッグのチャックを開いて中身を取り出したが、ふたりのまったく予想外な品物が出現した。液体の入ったふたつのカプセルに粘土状のモノがしっかりとビニールテープで止められ、赤青黄色のコードが入り組んだ先に黒い箱とタイマー。哲平に内容を確認しようと、翔子は自分の携帯を手にしたがその手を止める。ガソリンスタンドで見た大爆発を想い出したのだ。
「そう言えば、犯人は爆発物を持ってたわ…。」
「これが爆発したら、7階、8階の人どころか、外で避難している人の上にもソマンのガスが降り注ぐことになります。これじゃ、密封袋に入れたところでどうにもならない。」
翔子と達也は互いに見つめ合い、それぞれの瞳の奥に絶望的な恐怖があるのを見た。
「みんなが助かる方法はないの?」
「方法は…。」
達也は今まで使ったことのない脳のシナプスまで総動員して、方法を探った。
「ソマンを洗浄するのに、水酸化ナトリウムの濃厚水溶液を使用します。もしこれを海水の中で爆発させることが出来れば、中和して毒性の低い化合物に分解することができるかも…。」
翔子の目の色が変わった。タイマーの数字は5分を切っている。
「無理です、翔子さん。ここから埠頭まで5分じゃ行けません。」
「あたしを誰だと思ってるの。弾丸翔子よ。4分で行ってやるわ。」
翔子は手にしていた携帯を投げ捨てると、黒いスポーツバックを担いで脱兎のごとく階段を駆け降りた。
「翔子さん。」
達也が叫んで呼びとめても、翔子の耳には入っていないようだった。達也は、翔子が投げ捨てた携帯を拾うと、彼女の後を追った。そして、走りながらリダイアルし、哲平に翔子がしようとしている事を報告した。
翔子が病院の玄関から外に出ると、警察、消防の車両がようやく到着しているところだった。誰に何の説明をするわけでなく、玄関前に止めてあった白バイにまたがり、赤いヘルメットを付けてエンジンを始動させた。エンジンが吹け上がるのももどかしく、高回転でクラッチを繋ぐ。タイヤから煙を上げながら白バイはスタートしていった。タイマーは4分を切っていた。
「そう言えば、犯人は爆発物を持ってたわ…。」
「これが爆発したら、7階、8階の人どころか、外で避難している人の上にもソマンのガスが降り注ぐことになります。これじゃ、密封袋に入れたところでどうにもならない。」
翔子と達也は互いに見つめ合い、それぞれの瞳の奥に絶望的な恐怖があるのを見た。
「みんなが助かる方法はないの?」
「方法は…。」
達也は今まで使ったことのない脳のシナプスまで総動員して、方法を探った。
「ソマンを洗浄するのに、水酸化ナトリウムの濃厚水溶液を使用します。もしこれを海水の中で爆発させることが出来れば、中和して毒性の低い化合物に分解することができるかも…。」
翔子の目の色が変わった。タイマーの数字は5分を切っている。
「無理です、翔子さん。ここから埠頭まで5分じゃ行けません。」
「あたしを誰だと思ってるの。弾丸翔子よ。4分で行ってやるわ。」
翔子は手にしていた携帯を投げ捨てると、黒いスポーツバックを担いで脱兎のごとく階段を駆け降りた。
「翔子さん。」
達也が叫んで呼びとめても、翔子の耳には入っていないようだった。達也は、翔子が投げ捨てた携帯を拾うと、彼女の後を追った。そして、走りながらリダイアルし、哲平に翔子がしようとしている事を報告した。
翔子が病院の玄関から外に出ると、警察、消防の車両がようやく到着しているところだった。誰に何の説明をするわけでなく、玄関前に止めてあった白バイにまたがり、赤いヘルメットを付けてエンジンを始動させた。エンジンが吹け上がるのももどかしく、高回転でクラッチを繋ぐ。タイヤから煙を上げながら白バイはスタートしていった。タイマーは4分を切っていた。



