弾・丸・翔・子

 自分のバイクを見ると、爆発の衝撃で倒れていた。起こそうとしたが、ラジエーターが破損し冷却水が漏れだしていた。哲平の白バイを探すと、重いことが幸いして爆発にも耐え無事に立っている。翔子は躊躇なく哲平の白バイにまたがり、エンジンをスタートさせて病院に向った。
「おい、翔子、俺のバイクを勝手に…。あーあ、行っちまったよ…。」
 哲平は、諦めたように首を振ると、捜査本部に連絡を取った。そして時計を見てつぶやく。
「みんなが来るには15分はかかるよな…。」
 今度は男の処置に取りかかった。男に手錠を掛けると、未だ火柱が上がるガスステーションからバケツ一杯の水を汲んできて、男の身体にぶちまける。男はそれで目を覚ました。
「おい、GDのお兄ちゃん。病院で何やってたんだ?」
 男は最初事態が飲み込めず戸惑っていたようだが、やがて自分の境遇を知ると開き直って薄笑いを浮かべる。
「そうか、喋りたくないのか…。」
 哲平は、男の首を締めあげた。
「お前はナチが開発した毒ガスに詳しいんだって?でも、ナチが良くやっていた拷問は知らないだろう。」
 哲平は、燃え盛るガスステーションの中に男を引きずり込むと、水洗いホースのある場所に男を放り投げた。そして爆発で砕けた板に男の背中を固定して、頭を下に向けた状態で縛りつける。何処から見つけてきたのか、厚手の袋を持ってきて男の頭にかぶせた。
「ウォーターボーディングって知ってるか。」
 哲平はホースを引き出しながら言った。ウォーターボーディングとは、顔にかぶせた袋に穴をあけ口や鼻の穴に水を直接注ぎ込むことで急速に窒息を生じさせる拷問だ。頭を水槽などに押さえつけると息を止めて抵抗されるが、逆さまの状態で水を口や鼻の穴に注ぎ込まれると気管の咽頭反射で肺から空気が放出され、すぐに溺水状態に追い込めるため溺れ死ぬ感覚が簡単に誘導できる。殴ったり感電したりする拷問は、苦痛を与えることはできるが死の恐怖を実演することは難しい。しかし、この拷問は簡単に溺死する錯覚に陥り、死の恐怖で短期間に自白を強要できるとされている。
「お前は何回死の恐怖に耐えられるかなぁ。さあ、皆が集まってくる前に、話を聞かせてもらおうか。」
 哲平はホースの水を、男の顔に注いだ。こんな拷問を知っているなんて…。やはり、哲平は相当なワルだ。