図星を突かれた哲平は、口から心臓が飛び出そうになった。
「目や口などの部分写真を組み合わせる『モンタージュ写真』より似顔絵の方が、対象者の特徴が印象的に表現できて捜査には有効なんだよ。『モンタージュ写真』は作り間違えば、どんどん犯人から遠ざかってしまう。3億円事件未解決もそれが原因のひとつとして、上げられている位なんだからな。」
さすがテロ対策室長である。狩山の鋭い洞察力に、哲平は脱帽した。
「とにかくいろんな顔を見て、記憶がぶれる前にまず似顔絵を作ってもらう。それが終わったら、被疑者の写真を見てくれ。」
「えっ、すでに被疑者が絞られているのですか?」
「ああ、7000人ほどに絞った。しかしその中に犯人が居るとは限らないがな…。」
「7000人…ですか…。」
「ヤス、シマ。ボウズを連れて行ってやれ。」
哲平は狩山に敬礼する間もなく、ヤスとシマに両脇を抱えられて別室へ連れて行かれた。哲平は二人の捜査官に挟まれて歩きながら、捜査官になると被疑者の連行に慣れ過ぎて、人を普通に案内する作法なんて忘れてしまうのだと感じていた。
小部屋で待っていると、やがてやってきた似顔絵捜査官に自分の見た被疑者の顔の特徴を告げ、やっとのことで1枚の似顔絵を作りあげる。その時点で、もう暗くなっていたが、家に帰してもらえるはずもない。そのまま軟禁され、ひとりひとりと握手をするように7000人の顔写真を見続けた。3日間徹夜作業の結果、7000人の中には、哲平が見た顔はなかった。
徹夜明けで久しぶりに家に戻った哲平は、ベッドにつく間もなく翔子に呼び出された。翔子に指定されたスタバに遅れてやってきた哲平は、不機嫌そうに翔子に文句を言う。
「なんだよ、翔子。こちとら全然寝てないんだぞ。夕方からは勤務だし…。」
「ごめんなさい…。でも、どうしても話しがしたくて…。」
長い髪を束ねて、肩をすぼめて謝る翔子。哲平は彼女を見ながら、なぜかミカが想い出された。徹夜明けの家路の途中に哲平の携帯が鳴った時は、相手がミカであると勝手に思い込んで携帯を取った。心も体も疲れている時に会いたい相手は、なぜかミカだった。実は哲平の不機嫌の理由はここにある。
「で、話って?」
「捜査は進んでるの?」
「その話しかよ…だから官は民に捜査のことベラベラ喋れないんだって。」
「犯人の目星は付いてるの?」
「目や口などの部分写真を組み合わせる『モンタージュ写真』より似顔絵の方が、対象者の特徴が印象的に表現できて捜査には有効なんだよ。『モンタージュ写真』は作り間違えば、どんどん犯人から遠ざかってしまう。3億円事件未解決もそれが原因のひとつとして、上げられている位なんだからな。」
さすがテロ対策室長である。狩山の鋭い洞察力に、哲平は脱帽した。
「とにかくいろんな顔を見て、記憶がぶれる前にまず似顔絵を作ってもらう。それが終わったら、被疑者の写真を見てくれ。」
「えっ、すでに被疑者が絞られているのですか?」
「ああ、7000人ほどに絞った。しかしその中に犯人が居るとは限らないがな…。」
「7000人…ですか…。」
「ヤス、シマ。ボウズを連れて行ってやれ。」
哲平は狩山に敬礼する間もなく、ヤスとシマに両脇を抱えられて別室へ連れて行かれた。哲平は二人の捜査官に挟まれて歩きながら、捜査官になると被疑者の連行に慣れ過ぎて、人を普通に案内する作法なんて忘れてしまうのだと感じていた。
小部屋で待っていると、やがてやってきた似顔絵捜査官に自分の見た被疑者の顔の特徴を告げ、やっとのことで1枚の似顔絵を作りあげる。その時点で、もう暗くなっていたが、家に帰してもらえるはずもない。そのまま軟禁され、ひとりひとりと握手をするように7000人の顔写真を見続けた。3日間徹夜作業の結果、7000人の中には、哲平が見た顔はなかった。
徹夜明けで久しぶりに家に戻った哲平は、ベッドにつく間もなく翔子に呼び出された。翔子に指定されたスタバに遅れてやってきた哲平は、不機嫌そうに翔子に文句を言う。
「なんだよ、翔子。こちとら全然寝てないんだぞ。夕方からは勤務だし…。」
「ごめんなさい…。でも、どうしても話しがしたくて…。」
長い髪を束ねて、肩をすぼめて謝る翔子。哲平は彼女を見ながら、なぜかミカが想い出された。徹夜明けの家路の途中に哲平の携帯が鳴った時は、相手がミカであると勝手に思い込んで携帯を取った。心も体も疲れている時に会いたい相手は、なぜかミカだった。実は哲平の不機嫌の理由はここにある。
「で、話って?」
「捜査は進んでるの?」
「その話しかよ…だから官は民に捜査のことベラベラ喋れないんだって。」
「犯人の目星は付いてるの?」



