今日のレッスンでの別れ際、達也の身を案じて翔子はそう言ってくれたが、このままでは、副長の思惑通り、翔子の前から姿を消さなければならない。絶対にそれは嫌だ。しかし仮に結果に関わらず翔子が兄の言葉を反故にして、自分と会ってくれたとしても、決して嬉しくはないこともわかっていた。今後も心安らかに翔子と会えるようにするためには、あの峠のツインドライブで見せた火事場の馬鹿力を期待するしかない。達也は持っていたオレンジジュースを一気に飲み干した。
今日は午後診療のため、病院へは遅めの出勤でいい。家を出る時間まで、気分転換にブルースと遊ぼう。達也は大人しく横たわるブルースにチョッカイ出す。無邪気な弟に寛容なブルースは、迷惑顔ながら付き合ってくれているようだった。
その時外玄関のチャイムが鳴った。こんな時間に来客?あいにく母親は地域ボランティアの会合で朝から家を出ている。達也は家に入り台所のモニターボタンを押した。
「はい?」
『バイク便のセルートです。荷物のお届けにまいりました。』
自宅にバイク便なんて珍しい。父が学会の資料でも送らせたのだろうか。不審に思いモニターからバイク便のライダーを見た。
「あれ?次郎さんでしょう。」
『えっ?』
ライダーが自分の名前を呼ばれて驚いている様子がモニターから見て取れた。
「翔子さんのお兄さんの墓参りでお会いした上田…いや、ペケジェーですよ。」
『ああ、あの時の…。ここはペケジェーさんのお宅でしたか。』
「今、錠を開けますから。」
達也は警戒心を解いて、解錠ボタンを押した。
『開きました。ありがとうございます。あれ?荷物が湿ってる。おかしいな…。』
達也が入口にまわって、ドアを開けようとした時、珍しくブルースが激しく吠えたてている声が聞こえてきた。達也はブルースを止めようと慌ててドアを開けたが、そこで見た光景に達也は思わず凍りついた。
外玄関から入ったところで、次郎が昏倒して痙攣を起こしている。遠目から見ても、嘔吐や失禁をしていることがわかった。慌てて駆け寄ろうとした達也を、ブルースが物凄い形相で吠えて近寄らせない。そして達也の足を止めたブルースは、踵を返すと次郎が手に持っていた書類封筒を咥えて、物凄い勢いで外へ駆けだしていった。
「ブルース!」
今日は午後診療のため、病院へは遅めの出勤でいい。家を出る時間まで、気分転換にブルースと遊ぼう。達也は大人しく横たわるブルースにチョッカイ出す。無邪気な弟に寛容なブルースは、迷惑顔ながら付き合ってくれているようだった。
その時外玄関のチャイムが鳴った。こんな時間に来客?あいにく母親は地域ボランティアの会合で朝から家を出ている。達也は家に入り台所のモニターボタンを押した。
「はい?」
『バイク便のセルートです。荷物のお届けにまいりました。』
自宅にバイク便なんて珍しい。父が学会の資料でも送らせたのだろうか。不審に思いモニターからバイク便のライダーを見た。
「あれ?次郎さんでしょう。」
『えっ?』
ライダーが自分の名前を呼ばれて驚いている様子がモニターから見て取れた。
「翔子さんのお兄さんの墓参りでお会いした上田…いや、ペケジェーですよ。」
『ああ、あの時の…。ここはペケジェーさんのお宅でしたか。』
「今、錠を開けますから。」
達也は警戒心を解いて、解錠ボタンを押した。
『開きました。ありがとうございます。あれ?荷物が湿ってる。おかしいな…。』
達也が入口にまわって、ドアを開けようとした時、珍しくブルースが激しく吠えたてている声が聞こえてきた。達也はブルースを止めようと慌ててドアを開けたが、そこで見た光景に達也は思わず凍りついた。
外玄関から入ったところで、次郎が昏倒して痙攣を起こしている。遠目から見ても、嘔吐や失禁をしていることがわかった。慌てて駆け寄ろうとした達也を、ブルースが物凄い形相で吠えて近寄らせない。そして達也の足を止めたブルースは、踵を返すと次郎が手に持っていた書類封筒を咥えて、物凄い勢いで外へ駆けだしていった。
「ブルース!」



