翔子の朝の挨拶に、お祖母ちゃんは台所から、そしてお祖父ちゃんと達也は庭から明るく返事を返した。翔子が顔を洗って朝食の食卓に着くと、このトマトはお祖父ちゃんと朝一番に収穫したものだと、達也が自慢する。塩のかかった真っ赤なトマト。そして、魚の干物とみそ汁とお新香。静かに味噌汁をよそうお祖母ちゃん。畑の苦労の愚痴を言うお祖父ちゃん。とびきりの笑顔で盛んにトマトをすすめる達也。質素であるものの、この柔らかさと暖かさに包まれた朝食は、母とお兄ちゃんとそしてお父さんとで囲んだ、遥か昔の食卓の記憶を翔子に蘇らせた。
一宿一飯の礼を言って田舎屋を離れたふたり。警察署の駐輪所からバイクを引き出して、帰路についた。往路と同じように翔子の後に着いてバイクを走らせる達也ではあったが、復路では自分のライディングに余裕を感じたのだろう。そのうち翔子のバイクに並んで走ったり、前に出たり。ふたりのバイクの轍が、連れ添いながら、絡みながら、その軌跡を標す。ワルツを踊るかのごとくバイクを操って、翔子と達也は帰りのツーリングを楽しんだ。
「副長さん、今日は非番なんですか?」
不満顔の達也が、病院の入口で哲平を迎えた。
「いきなり病院へ電話してくると思えば、駐車券よこせなんて…。」
「いいだろ。俺様のバイクは駐輪スペースなんてチンケなところに収まる品物じゃないんだ。」
確かにプライベートで哲平が乗ってきたバイクは、ハーレー・ダビッドソン ナイトロッドスペシャル(VRSCDX)。水冷60度Vツイン1246ccエンジンで、240ミリの超ワイドタイヤを履く水牛級のバイク。ロングストロークが特徴のハーレー・ダビッドソンの他のファミリーに対し、こいつのエンジンはかなりショートストローク。回せば回すほど暴力的な加速を見せるという超ド級の代物だ。
「かっこいいバイクですねぇ。」
達也が駐車券を渡しながら、舐めるように哲平のバイクを眺める。
「触るんじゃねぇ。」
哲平が駐車券を奪って、達也にシッッシッをする。
「いいじゃないですか見るくらい…。でもこんなバイクで女性を誘ったらみんな乗りたがるでしょう。」
「俺は、一生に一度の女しかバイクに乗せない主義だ。」
「へーぇ…意外ですね。」
「ところで、コッペイの具合はどうだ。」
一宿一飯の礼を言って田舎屋を離れたふたり。警察署の駐輪所からバイクを引き出して、帰路についた。往路と同じように翔子の後に着いてバイクを走らせる達也ではあったが、復路では自分のライディングに余裕を感じたのだろう。そのうち翔子のバイクに並んで走ったり、前に出たり。ふたりのバイクの轍が、連れ添いながら、絡みながら、その軌跡を標す。ワルツを踊るかのごとくバイクを操って、翔子と達也は帰りのツーリングを楽しんだ。
「副長さん、今日は非番なんですか?」
不満顔の達也が、病院の入口で哲平を迎えた。
「いきなり病院へ電話してくると思えば、駐車券よこせなんて…。」
「いいだろ。俺様のバイクは駐輪スペースなんてチンケなところに収まる品物じゃないんだ。」
確かにプライベートで哲平が乗ってきたバイクは、ハーレー・ダビッドソン ナイトロッドスペシャル(VRSCDX)。水冷60度Vツイン1246ccエンジンで、240ミリの超ワイドタイヤを履く水牛級のバイク。ロングストロークが特徴のハーレー・ダビッドソンの他のファミリーに対し、こいつのエンジンはかなりショートストローク。回せば回すほど暴力的な加速を見せるという超ド級の代物だ。
「かっこいいバイクですねぇ。」
達也が駐車券を渡しながら、舐めるように哲平のバイクを眺める。
「触るんじゃねぇ。」
哲平が駐車券を奪って、達也にシッッシッをする。
「いいじゃないですか見るくらい…。でもこんなバイクで女性を誘ったらみんな乗りたがるでしょう。」
「俺は、一生に一度の女しかバイクに乗せない主義だ。」
「へーぇ…意外ですね。」
「ところで、コッペイの具合はどうだ。」



