翔子がひとつシフトダウンすると、バイクの人格が変わった。それまでも決して遅い走行ではなかったが、それでもスタート時はフロントが浮きそうなほどの爆発的なスタートだ。翔子のエンジンの雄たけびを聞いた瞬間に達也はゾーンに入った。達也のバイクも、追うと言うよりも、翔子に引っ張られるようにかっ飛んで行った。
アクセルを開ける度合い、ブレーキのタイミングと強さ。バイクを傾ける角度。翔子のそれと一分の違いもなく達也はバイクをコントロールした。前のバイクの操作を見て真似てのことなら、多少のギャップが生じるはずだが、そのギャップが無い。つまりゾーンに入った達也は、翔子と同化していたのだ。以前タンデムで翔子との同化を体験したことが、そんな芸当ができる基礎を作りあげていたのかもしれない。達也は気付かなかったが、その時スピードメーターを見たら度肝を抜かれていただろう。まったく未知なスピードで直線からコーナーに突入し、そして抜けていたのだ。
突然に爆発的な走りを始めた獲物に驚いたものの、邪悪な狩人達はしつこくその後を追った。最初は、恐れを知らぬ無謀な神経と、有り余る体力で翔子たちになんとかついて行ったが、ロスの無いあるべきラインに乗って走るふたりに徐々に離されていく。あのふたりはとんでもなく速い。直線での絶対的な速さに加え、なんであのスピードでコーナーに突入し抜けられるのだ。
獲物を追っている理由が明確ではないせいか、リーダーを除くメンバーは、追っている獲物が、自分達のライディングテクニックを遥かに超えた走りをしていることに気づく理性がまだ残っていた。するとさすがに恐怖に無頓着な彼らも、力を越えたスピードの世界にいることに徐々に気後れを感じ、スピードを落として獲物を諦めるべきだと考え始めていた。しかし、リーダーは、自分が決めた獲物を追う興奮でそんなわずかな理性すら失っている。自分とタイヤの能力を遥かに超えて右手のグリップを絞り、アクセルを開け続ける。
相手が弾丸翔子とわかっていれば、こんな無謀なことはしなかっただろう。獲物として狙った相手が悪かった。翔子たちと同じスピードでカーブに入ったリーダーは、ついに自らのライディングの限界を越え、大きく膨らみ反対車線のフェンスに激突した。
アクセルを開ける度合い、ブレーキのタイミングと強さ。バイクを傾ける角度。翔子のそれと一分の違いもなく達也はバイクをコントロールした。前のバイクの操作を見て真似てのことなら、多少のギャップが生じるはずだが、そのギャップが無い。つまりゾーンに入った達也は、翔子と同化していたのだ。以前タンデムで翔子との同化を体験したことが、そんな芸当ができる基礎を作りあげていたのかもしれない。達也は気付かなかったが、その時スピードメーターを見たら度肝を抜かれていただろう。まったく未知なスピードで直線からコーナーに突入し、そして抜けていたのだ。
突然に爆発的な走りを始めた獲物に驚いたものの、邪悪な狩人達はしつこくその後を追った。最初は、恐れを知らぬ無謀な神経と、有り余る体力で翔子たちになんとかついて行ったが、ロスの無いあるべきラインに乗って走るふたりに徐々に離されていく。あのふたりはとんでもなく速い。直線での絶対的な速さに加え、なんであのスピードでコーナーに突入し抜けられるのだ。
獲物を追っている理由が明確ではないせいか、リーダーを除くメンバーは、追っている獲物が、自分達のライディングテクニックを遥かに超えた走りをしていることに気づく理性がまだ残っていた。するとさすがに恐怖に無頓着な彼らも、力を越えたスピードの世界にいることに徐々に気後れを感じ、スピードを落として獲物を諦めるべきだと考え始めていた。しかし、リーダーは、自分が決めた獲物を追う興奮でそんなわずかな理性すら失っている。自分とタイヤの能力を遥かに超えて右手のグリップを絞り、アクセルを開け続ける。
相手が弾丸翔子とわかっていれば、こんな無謀なことはしなかっただろう。獲物として狙った相手が悪かった。翔子たちと同じスピードでカーブに入ったリーダーは、ついに自らのライディングの限界を越え、大きく膨らみ反対車線のフェンスに激突した。



