「この前家に来て、お父さんの言う通りに医者になったって言ってたじゃない。」
「ええ、まあ…。」
「そんなにお父さんが怖いの?」
「そうストレートに聞かれると、ファザコンみたいで抵抗あるけど…確かに苦手ではありますね。」
「怖いのと苦手なのと、どう違うの?」
「ううむ…。」
「あなたのコーナリングを見ればよくわかるわ。」
「また、禅問答ですか?」
「いえ、簡単なことよ。バイクってね、不思議なもんで、ライダーが見ている方向に走っていくものなの。曲がる時にね、フェンスにぶつかりそうで怖いと思って、そのフェンス見てしまうと、なぜかフェンスに向って走ってしまう。だけどね、自分が行きたい先を見つめると、自然にその方向にバイクは向かってくれるのよ。」
達也は翔子の言っている事を必死に理解しようと、おにぎりをかむのを忘れて翔子の次の言葉を待った。
「さっき、自分の何処が悪いんだって言っていたじゃない。倒し方だの、ブレーキだのと技術的なことばかり言っていたけど、答えは簡単。抜けていきたい先を見てないから曲がれないのよ。」
「見ていない?」
「そう、フェンスが怖いから、つい怖いものを見てしまう。だからそっちの方向へ行ってしまうの。今度は、どんなにフェンスが怖くても、自分が行きたい先を見続けなさい。」
達也はしばらく黙って翔子を見続けた。そして、視線を空に向けると、手に持ったおにぎりを全部口の中に入れて翔子の言葉を咀嚼する。
「ひきたい…さふぃ…を…みすずける…。」
するといきなり思いついたように、口の中のおにぎりを飲み込み、むせりながらも翔子に尋ねた。
「で、でも、それと、さっきの父の話しは何の関係があるんですか。」
翔子は笑いながら、達也の口に付いたご飯粒を手でつまんで自分の口に入れた。
「それは帰ってから、ひとりでじっくり考えなさい。ぼくちゃん。」
「ちょっと、子ども扱いはやめてください…。」
「行くわよ。」
翔子はベンチから立ち上がった。
「ええ、まあ…。」
「そんなにお父さんが怖いの?」
「そうストレートに聞かれると、ファザコンみたいで抵抗あるけど…確かに苦手ではありますね。」
「怖いのと苦手なのと、どう違うの?」
「ううむ…。」
「あなたのコーナリングを見ればよくわかるわ。」
「また、禅問答ですか?」
「いえ、簡単なことよ。バイクってね、不思議なもんで、ライダーが見ている方向に走っていくものなの。曲がる時にね、フェンスにぶつかりそうで怖いと思って、そのフェンス見てしまうと、なぜかフェンスに向って走ってしまう。だけどね、自分が行きたい先を見つめると、自然にその方向にバイクは向かってくれるのよ。」
達也は翔子の言っている事を必死に理解しようと、おにぎりをかむのを忘れて翔子の次の言葉を待った。
「さっき、自分の何処が悪いんだって言っていたじゃない。倒し方だの、ブレーキだのと技術的なことばかり言っていたけど、答えは簡単。抜けていきたい先を見てないから曲がれないのよ。」
「見ていない?」
「そう、フェンスが怖いから、つい怖いものを見てしまう。だからそっちの方向へ行ってしまうの。今度は、どんなにフェンスが怖くても、自分が行きたい先を見続けなさい。」
達也はしばらく黙って翔子を見続けた。そして、視線を空に向けると、手に持ったおにぎりを全部口の中に入れて翔子の言葉を咀嚼する。
「ひきたい…さふぃ…を…みすずける…。」
するといきなり思いついたように、口の中のおにぎりを飲み込み、むせりながらも翔子に尋ねた。
「で、でも、それと、さっきの父の話しは何の関係があるんですか。」
翔子は笑いながら、達也の口に付いたご飯粒を手でつまんで自分の口に入れた。
「それは帰ってから、ひとりでじっくり考えなさい。ぼくちゃん。」
「ちょっと、子ども扱いはやめてください…。」
「行くわよ。」
翔子はベンチから立ち上がった。



