小児病棟を抜けようとしていた時に、達也は声を掛けられた。そんな名前で呼ばれても思わず振り返ってしまう自分が悲しい。案の定、白いスカーフを巻いた哲平が居た。
「えっ、副長?なんでこんなところに?」
「その呼び方はやめろよ…。」
哲平は、職務中なのか正式な白バイ隊の制服を着用していた。もともと骨太の骨格に、養成所で鍛え上げられた筋肉を纏った身体は制服を着ると壮観である。路上でバイクを呼びとめられたわけではないので、今は威圧的な官と言うよりは、頼りがいのある正義漢といった印象だ。あのララバイジャンパーを羽織った哲平とは大違いだった。
「まあいいや、ちょっと手伝ってくれ。」
「警察の仕事を手伝えって言われても…。」
「いいからこれを着てくれ。」
哲平が差し出したのは、黒の地に骸骨が描かれた全身タイツだ。
「えーっ、なんでまた?」
「いいから、着ろって。」
「嫌ですよ、そんな全身タイツ。忘年会の余興じゃあるまいし…。」
「しょうがないだろう、次郎が仕事で捕まらないんだから…。」
「自分だって仕事中ですよ。」
「そんなこと言わないで…お前んとこの入院患者の為なんだから、ひと肌脱げって。」
達也は哲平に白衣の襟を掴まれて、トイレに連れ込まれてしまった。力では哲平にかなうわけが無い。
コッペイは、二人部屋病室のベッドの上に胡坐をかいて、窓の外の景色を眺めていた。もうひとつのベッドに寝ていた患者は昨日退院して、今は空になっている。コッペイは静かな病室に居るものの、気持ちはイライラしていた。この病室が嫌でたまらないのだ。ダメージの回復とは言え、病院に居るとあちこち身体をいじられたり、針を刺されたりされそうで、正直怖かった。もう心臓は大丈夫だと言うのに、なぜ母親は家に連れて帰ろうとしないのか不思議で、事あるごとに母親に当たっている。今も母が差し出したジュースをわざと手で払って、母の服を汚し、母はシミ抜きで病室を離れていた。
コッペイは、窓外を眺めながら、ふと背後にモノの気配を感じた。それはこの世にあるはずもないモノの気配だ。コッペイの背中に殺気にも似た冷気が忍び寄り、彼に緊張を強いた。恐る恐る、そしてゆっくりとコッペイは振り返った。そして、その化け物と目があった。
「キェーッ!」
「えっ、副長?なんでこんなところに?」
「その呼び方はやめろよ…。」
哲平は、職務中なのか正式な白バイ隊の制服を着用していた。もともと骨太の骨格に、養成所で鍛え上げられた筋肉を纏った身体は制服を着ると壮観である。路上でバイクを呼びとめられたわけではないので、今は威圧的な官と言うよりは、頼りがいのある正義漢といった印象だ。あのララバイジャンパーを羽織った哲平とは大違いだった。
「まあいいや、ちょっと手伝ってくれ。」
「警察の仕事を手伝えって言われても…。」
「いいからこれを着てくれ。」
哲平が差し出したのは、黒の地に骸骨が描かれた全身タイツだ。
「えーっ、なんでまた?」
「いいから、着ろって。」
「嫌ですよ、そんな全身タイツ。忘年会の余興じゃあるまいし…。」
「しょうがないだろう、次郎が仕事で捕まらないんだから…。」
「自分だって仕事中ですよ。」
「そんなこと言わないで…お前んとこの入院患者の為なんだから、ひと肌脱げって。」
達也は哲平に白衣の襟を掴まれて、トイレに連れ込まれてしまった。力では哲平にかなうわけが無い。
コッペイは、二人部屋病室のベッドの上に胡坐をかいて、窓の外の景色を眺めていた。もうひとつのベッドに寝ていた患者は昨日退院して、今は空になっている。コッペイは静かな病室に居るものの、気持ちはイライラしていた。この病室が嫌でたまらないのだ。ダメージの回復とは言え、病院に居るとあちこち身体をいじられたり、針を刺されたりされそうで、正直怖かった。もう心臓は大丈夫だと言うのに、なぜ母親は家に連れて帰ろうとしないのか不思議で、事あるごとに母親に当たっている。今も母が差し出したジュースをわざと手で払って、母の服を汚し、母はシミ抜きで病室を離れていた。
コッペイは、窓外を眺めながら、ふと背後にモノの気配を感じた。それはこの世にあるはずもないモノの気配だ。コッペイの背中に殺気にも似た冷気が忍び寄り、彼に緊張を強いた。恐る恐る、そしてゆっくりとコッペイは振り返った。そして、その化け物と目があった。
「キェーッ!」



