「あの、身体は大丈夫ですか…。」
達也がトリニティに呼びかけるも、メットを被り、余計なガソリンを飛ばすためにエンジンを吹かす音にかき消されて相手に届かない。
「あのーっ、修理代を!」
達也の必死の呼び掛けも虚しく、彼女はスタンドを上げてギヤを入れると、けたたましいエンジン音とともに走り去ってしまった。
かっこ良過ぎる…。達也とブルースは、走り去るトリニティの後ろ姿をいつまでも眺めていた。
「お待たせいたしました。検定の結果を掲出します。」
教官の声で達也は我に返った。やっと、検定試験の合格者の番号がボードに張り出されるのだ。群がる検定参加者の背中に飛びつくようにしてボードに見入った達也は、果たして自分の番号をそのボードに発見することができた。やったぞ。あのトリニティに一歩近づいた。すると、教官が合格に喜ぶ教習生たちに向かって笑顔で語りかける。
「今日は皆さんお疲れ様でした。検定に合格された方には、大型の教習用バイクで教習コースを周回できるお祝いを用意いたしました。ご希望の方はどうぞこちらへ。」
えっ、大型に乗れるの…。早く病院に戻らなければならない事情も忘れて、達也はこのお祝いに飛びつく。ホンダCB1300SFに乗ってみて驚いた。直進の加速感、重厚感、そして安定感が、今までホンダCB400Fの教習バイクと次元が違う。中型がまるでおもちゃのように感じる。ただ周回するだけのドライビングで、バイクが上手くなったような錯覚に陥った達也は、バイクを降りた瞬間に大型自動2輪免許の教習を申し込んだ。
そのお祝いが自動車教習所の巧みな罠だと気付いたところで後の祭り。大型バイクの検定試験まで、本来なら12時間ですむ実技教習。しかし達也は40時間もかけて、車両重量250キロを取りまわす地獄の教習をたっぷりと味わったのである。
夜は妖しいネオンで華やかに飾られるが、昼間は薄汚れていて、あちこちに放置されたごみ袋が悪臭を放つ。昼の繁華街は人影もまばらだ。そんな繁華街にある事務所へバイク便で封筒が届けられた。
達也がトリニティに呼びかけるも、メットを被り、余計なガソリンを飛ばすためにエンジンを吹かす音にかき消されて相手に届かない。
「あのーっ、修理代を!」
達也の必死の呼び掛けも虚しく、彼女はスタンドを上げてギヤを入れると、けたたましいエンジン音とともに走り去ってしまった。
かっこ良過ぎる…。達也とブルースは、走り去るトリニティの後ろ姿をいつまでも眺めていた。
「お待たせいたしました。検定の結果を掲出します。」
教官の声で達也は我に返った。やっと、検定試験の合格者の番号がボードに張り出されるのだ。群がる検定参加者の背中に飛びつくようにしてボードに見入った達也は、果たして自分の番号をそのボードに発見することができた。やったぞ。あのトリニティに一歩近づいた。すると、教官が合格に喜ぶ教習生たちに向かって笑顔で語りかける。
「今日は皆さんお疲れ様でした。検定に合格された方には、大型の教習用バイクで教習コースを周回できるお祝いを用意いたしました。ご希望の方はどうぞこちらへ。」
えっ、大型に乗れるの…。早く病院に戻らなければならない事情も忘れて、達也はこのお祝いに飛びつく。ホンダCB1300SFに乗ってみて驚いた。直進の加速感、重厚感、そして安定感が、今までホンダCB400Fの教習バイクと次元が違う。中型がまるでおもちゃのように感じる。ただ周回するだけのドライビングで、バイクが上手くなったような錯覚に陥った達也は、バイクを降りた瞬間に大型自動2輪免許の教習を申し込んだ。
そのお祝いが自動車教習所の巧みな罠だと気付いたところで後の祭り。大型バイクの検定試験まで、本来なら12時間ですむ実技教習。しかし達也は40時間もかけて、車両重量250キロを取りまわす地獄の教習をたっぷりと味わったのである。
夜は妖しいネオンで華やかに飾られるが、昼間は薄汚れていて、あちこちに放置されたごみ袋が悪臭を放つ。昼の繁華街は人影もまばらだ。そんな繁華街にある事務所へバイク便で封筒が届けられた。



