最初は、翔子に意識させられたせいもあって、バイクよりは翔子の体を意識してしまい、達也は巻きつける腕にも力がはいらない。そんな彼に気付いたのか、翔子が自分に巻きつけられた達也の腕を叩く。
「もっとしっかり…目をつぶって…私の身体とひとつになって…。」
達也は目をつぶり、神経を集中した。『目をつぶって…ひとつになって。』そう呟くうちに、ようやく翔子の身体の感触が消えてきた。
そうすると、徐々に翔子の体の動きに反応して、バイクが動いていくのを感じられるようになった。翔子の達也を受入れる気持ちも助けとなって、達也の身体が翔子の身体と同化したのだ。ハンドルを握っているのは確かに彼女だが、バイクをコントロールしているのは一体化した達也であるということを、達也自身が実感するまで、翔子は何度でもロールを繰り返した。はじめはぎこちないロールが、段々とスムーズになってくる。やがて達也は、自然なロールの仕方を覚えて、フロントブレーキの解放のタイミングに合わせてバイクをロールさせることが出来るようになった。
ロールにぎこちなさが消えると、翔子は空き地から出て通常ドライブに切り替えた。翔子が右に体を寄せれば、バイクは翔子についていくように右に曲がる。翔子が体重を後ろに寄せれば、地面にグリップしたタイヤが加速を始め、前に寄せれば、サスが沈んでブレーキがかかる。バイクは翔子の身体にシンクロして生きていた。達也はそれをあたかも自分の身体として実感することが出た。
今まで自分がバイクに乗って感じていたものとは、異次元の感覚だ。運転するのではなく、体の一部としてバイクが動いてくれるのを感じた。いつしか達也は、バイクをコントロールしているのが、翔子なのか自分なのかその区別がつかなくなるほど、翔子との身体の同化を深化させていた。
一方ゾーンに入った翔子は、達也が背中に張り付いていることをとっくに忘れていた。自分の動きとシンクロするバイクに酔いながらも、自分の心臓の鼓動に波長をあわせてくるもうひとつの鼓動があることを不思議な思いで感じていた。それは優しい波動で、包み込むような温かみがある。翔子の心に心地よい風が吹いた。常にひとりでバイクに乗り続けていた翔子には経験のない感覚だ。それは無理やり言葉にするとすれば『ハーモニー(調和)』であろうか。
『気持ちいい。』
「もっとしっかり…目をつぶって…私の身体とひとつになって…。」
達也は目をつぶり、神経を集中した。『目をつぶって…ひとつになって。』そう呟くうちに、ようやく翔子の身体の感触が消えてきた。
そうすると、徐々に翔子の体の動きに反応して、バイクが動いていくのを感じられるようになった。翔子の達也を受入れる気持ちも助けとなって、達也の身体が翔子の身体と同化したのだ。ハンドルを握っているのは確かに彼女だが、バイクをコントロールしているのは一体化した達也であるということを、達也自身が実感するまで、翔子は何度でもロールを繰り返した。はじめはぎこちないロールが、段々とスムーズになってくる。やがて達也は、自然なロールの仕方を覚えて、フロントブレーキの解放のタイミングに合わせてバイクをロールさせることが出来るようになった。
ロールにぎこちなさが消えると、翔子は空き地から出て通常ドライブに切り替えた。翔子が右に体を寄せれば、バイクは翔子についていくように右に曲がる。翔子が体重を後ろに寄せれば、地面にグリップしたタイヤが加速を始め、前に寄せれば、サスが沈んでブレーキがかかる。バイクは翔子の身体にシンクロして生きていた。達也はそれをあたかも自分の身体として実感することが出た。
今まで自分がバイクに乗って感じていたものとは、異次元の感覚だ。運転するのではなく、体の一部としてバイクが動いてくれるのを感じた。いつしか達也は、バイクをコントロールしているのが、翔子なのか自分なのかその区別がつかなくなるほど、翔子との身体の同化を深化させていた。
一方ゾーンに入った翔子は、達也が背中に張り付いていることをとっくに忘れていた。自分の動きとシンクロするバイクに酔いながらも、自分の心臓の鼓動に波長をあわせてくるもうひとつの鼓動があることを不思議な思いで感じていた。それは優しい波動で、包み込むような温かみがある。翔子の心に心地よい風が吹いた。常にひとりでバイクに乗り続けていた翔子には経験のない感覚だ。それは無理やり言葉にするとすれば『ハーモニー(調和)』であろうか。
『気持ちいい。』



