しかしこどもはその手を、一向に離そうとしない。哲平は優しくこどもの手を解き、医師に委ねた。こどもはストレッチャーで運ばれながらも、いつまでも白バイにまたがる哲平を見つめていた。
「師匠、師匠、今日は何をやるんですか?」
到着した翔子が、赤いヘルメットを外すのも待てずに、達也はニコニコしながらレッスン開始をせがむ。翔子はそんな達也の顔を呆れて眺めた。翔子を見つめる達也は、まるで子どもそのままの顔だ。子どもの時代に勉強に時間を取り過ぎて遊びが足りなかった分、ここで取り戻そうとしているのだろうか。
「そんな慌てないで…今日はライディングフォームよ。」
「ライディングフォーム?」
「とにかく、センタースタンド立ててバイクに乗ってみなさい。」
達也はバイクにまたがる。
「バイクの動きを感じやすいライディングフォームというのがあるのよ。言い尽くされてはいるとは思うけど、それは『腕の力を抜く』と『ニーグリップ』」
翔子は何処から探してきたのか、棒の切れ端で達也の腕と膝を叩く。
「いっ、痛いですよ。師匠。」
「頭で解ってもしかたないでしょ。からだに伝えないと。」
翔子は棒で達也のヘルメットを軽く小突いた。
「まず、ハンドルを押さえない。極端なことを言うとバイクが動く部分ってハンドル回りしかないのね。フロントタイヤが車体に反応して自然に左右に切れることでハンドルが動く。これを感じるには、ハンドルに手を添えて、ハンドルを押さえないこと。押さえ込むあまり、バイクは曲がりたがっているのに、それを自分自身が邪魔していることって案外多いものなの。」
バイクの車体と達也の腕を叩きながら、翔子はレッスンを続けていく。
「次に、ニーグリップ…やってごらんなさい。」
達也が口を一文字にして、バイクのタンクを挟むように膝を締めた。その力のこめ様は、まるでプロレスリングの胴締めスリーパーホールドだ。それを見て翔子はため息をつく。
「達也は…つくづくバイクに才能ないのねぇ。」
「なんでですか!」
翔子が棒で膝をピシッと音をたてて叩く。痛さのあまり達也は膝を緩めた。
「師匠、師匠、今日は何をやるんですか?」
到着した翔子が、赤いヘルメットを外すのも待てずに、達也はニコニコしながらレッスン開始をせがむ。翔子はそんな達也の顔を呆れて眺めた。翔子を見つめる達也は、まるで子どもそのままの顔だ。子どもの時代に勉強に時間を取り過ぎて遊びが足りなかった分、ここで取り戻そうとしているのだろうか。
「そんな慌てないで…今日はライディングフォームよ。」
「ライディングフォーム?」
「とにかく、センタースタンド立ててバイクに乗ってみなさい。」
達也はバイクにまたがる。
「バイクの動きを感じやすいライディングフォームというのがあるのよ。言い尽くされてはいるとは思うけど、それは『腕の力を抜く』と『ニーグリップ』」
翔子は何処から探してきたのか、棒の切れ端で達也の腕と膝を叩く。
「いっ、痛いですよ。師匠。」
「頭で解ってもしかたないでしょ。からだに伝えないと。」
翔子は棒で達也のヘルメットを軽く小突いた。
「まず、ハンドルを押さえない。極端なことを言うとバイクが動く部分ってハンドル回りしかないのね。フロントタイヤが車体に反応して自然に左右に切れることでハンドルが動く。これを感じるには、ハンドルに手を添えて、ハンドルを押さえないこと。押さえ込むあまり、バイクは曲がりたがっているのに、それを自分自身が邪魔していることって案外多いものなの。」
バイクの車体と達也の腕を叩きながら、翔子はレッスンを続けていく。
「次に、ニーグリップ…やってごらんなさい。」
達也が口を一文字にして、バイクのタンクを挟むように膝を締めた。その力のこめ様は、まるでプロレスリングの胴締めスリーパーホールドだ。それを見て翔子はため息をつく。
「達也は…つくづくバイクに才能ないのねぇ。」
「なんでですか!」
翔子が棒で膝をピシッと音をたてて叩く。痛さのあまり達也は膝を緩めた。



