「さあ、今日は天気もいいし、ここでお弁当を食べましょう。」
お墓の掃除、お供え物、そして住職の読経と焼香をすませ、叔母が境内の空地にみんなを誘った。ここは郊外の高台にあり、眼下に広がる閑静な住宅地が一望できる。広げたビニールシートに腰掛けると、乾いた風と暖かい陽ざしが達也の頬を撫ぜる。翔子が風になびく髪を留めるために赤いヘアピンを付けた。ヘアピンも光を反射しながら気持ちよさそうに風に揺れていた。
「さあ、たくさん作ったから好きなだけ食べてください。」
叔母が開いた弁当は、約束通り五目飯のお稲荷さんであった。
「哲平ちゃん、次郎ちゃん。今日はどうもありがとう。遠慮なく食べて。」
叔母は稲荷の詰まったお重をふたりに渡した。叔母に笑顔で小さく礼を言いながら受け取ったふたりだが、稲荷を口に運びながら、やはり達也を睨み続けている。
「達也さんも遠慮しないでどうぞ。…何やってるのよ翔子、こんな時はちゃんとお世話しなくちゃ。」
翔子は肩をすくめながら、稲荷を箸で挟んで小皿に移すと達也に差し出した。達也は受け取りながら、翔子の顔を覗き込むが、彼を無理やり巻き込んだ罪悪感なのか、翔子はなかなか達也と視線を合わそうとしない。
『次郎、あいつは誰だ。』
『自分が知るわけないでしょう。』
哲平と次郎は、稲荷を頬ばりながら囁き合っている。
「ところで、達也さん。うちの翔子とはいつからのお付き合いなんです?」
父親の質問に、達也、哲平、次郎の三人が同時に口にはいった稲荷ずしを噴き出した。達也と哲平はそれぞれの事情で無理もないが、次郎が噴き出すのは、なんでも副長の言動に追従していた若き頃の習慣がまだとれていないせいだ。
「やだ、みんな汚いわね…。お父さんもいきなりそんなこと、ここで聞かなくてもいいじゃない…。」
せき込む達也の背中を叩きながら、必死に翔子がフォローする。
「いや、翔子にボーイフレンドがいたなんて全然気がつかなかったから…。」
「そうよ、翔子とお付き合いさせていただいて、どのくらい経つのかしら…。」
「どのくらいもなにも、お会いしたのは今日で4回目…。」
話し始めた達也に翔子がいきなり肘鉄を食らわし、彼の言葉が続かぬようにした。
「バイクで知り合ったの。もう半年くらいになるかしらね、達也。」
お墓の掃除、お供え物、そして住職の読経と焼香をすませ、叔母が境内の空地にみんなを誘った。ここは郊外の高台にあり、眼下に広がる閑静な住宅地が一望できる。広げたビニールシートに腰掛けると、乾いた風と暖かい陽ざしが達也の頬を撫ぜる。翔子が風になびく髪を留めるために赤いヘアピンを付けた。ヘアピンも光を反射しながら気持ちよさそうに風に揺れていた。
「さあ、たくさん作ったから好きなだけ食べてください。」
叔母が開いた弁当は、約束通り五目飯のお稲荷さんであった。
「哲平ちゃん、次郎ちゃん。今日はどうもありがとう。遠慮なく食べて。」
叔母は稲荷の詰まったお重をふたりに渡した。叔母に笑顔で小さく礼を言いながら受け取ったふたりだが、稲荷を口に運びながら、やはり達也を睨み続けている。
「達也さんも遠慮しないでどうぞ。…何やってるのよ翔子、こんな時はちゃんとお世話しなくちゃ。」
翔子は肩をすくめながら、稲荷を箸で挟んで小皿に移すと達也に差し出した。達也は受け取りながら、翔子の顔を覗き込むが、彼を無理やり巻き込んだ罪悪感なのか、翔子はなかなか達也と視線を合わそうとしない。
『次郎、あいつは誰だ。』
『自分が知るわけないでしょう。』
哲平と次郎は、稲荷を頬ばりながら囁き合っている。
「ところで、達也さん。うちの翔子とはいつからのお付き合いなんです?」
父親の質問に、達也、哲平、次郎の三人が同時に口にはいった稲荷ずしを噴き出した。達也と哲平はそれぞれの事情で無理もないが、次郎が噴き出すのは、なんでも副長の言動に追従していた若き頃の習慣がまだとれていないせいだ。
「やだ、みんな汚いわね…。お父さんもいきなりそんなこと、ここで聞かなくてもいいじゃない…。」
せき込む達也の背中を叩きながら、必死に翔子がフォローする。
「いや、翔子にボーイフレンドがいたなんて全然気がつかなかったから…。」
「そうよ、翔子とお付き合いさせていただいて、どのくらい経つのかしら…。」
「どのくらいもなにも、お会いしたのは今日で4回目…。」
話し始めた達也に翔子がいきなり肘鉄を食らわし、彼の言葉が続かぬようにした。
「バイクで知り合ったの。もう半年くらいになるかしらね、達也。」



