ドナリィンの恋

「Donna, I admit, I'm not a good dancer on the floor, but not on ice.
(ドナ。パーティーフロアでは無理だけど、氷の上なら僕はとてもいいダンスパートナーになれる。)」
 ホールいっぱいに、セリーヌ・ディオンが歌うタイタニック号のテーマ曲が流れ始めた。佑麻は曲に合わせて、ドナを操りながら滑らせ、リフトし、ペアダンスを踊った。ドナは、氷の上は初めての経験である。デッキシューズとはいえ、最初は滑りやすい氷面にバランスを失ったが、やがて佑麻に体を預けてさえいれば、スケーティングができることを悟った。心地よい風を全身で受ける。景色が流れていく。天井が回転する。佑麻に支えられ、操られ、抱きかかえられながらも、彼の体を自分の体の近くに感じて滑るスケーティングは、ドナをして、別世界にいるような心地にさせる。ゆっくりとスピンして、やがて曲の終りを迎えると、ドナを氷上に立たせながら佑麻がいった。
「I'm sorry for making you upset in the party. I'm so confused and I can't find a word to introduce you to everyone. I made a mistake. Allow me to make it right. Right here, on these moment.
(悲しませてごめんね。誘っておきながら、みんなに君のことをなんと紹介したら   いいのかわからなかったんだ。でもこれからはこう紹介することに決めた。)」
 佑麻は、誰もいないメインスタンドに向かって大声を張り上げた。
「Attention, ladies and gentlemen. I represent to you. Ms. Donnalyn Estrada. A lady that makes my days complete, make my world keep moving.
(みなさまにご紹介いたします。私が出会った最高の女性ミス ドナリィン・エストラーダです。)」
 そう言いながらうやうやしくお辞儀をする佑麻に、ドナの胸はキュンと鳴った。彼女は氷上を飛び上がると長身の彼にしがみついた。