オキクの復讐

 ユカが楽しそうにナミの身体に抱きついてきた。
「ごめんなさい。私なんてご迷惑なことをしてしまったのかしら。すぐお暇しますから…。」
「いえ、そんなことおっしゃらず、今日は休日でしょ。ゆっくりしていって下さい。自分とユカは、朝のウオーキングがてら朝食の買い物に行ってきます。今日は家政婦さんも休みだから、たいしたこと出来ないけど、朝食を準備しますから。その間にシャワーでも浴びてはいかがですか。」
 石嶋がユカを連れて外へ出ようとするが、ユカがナミの手を離さない。ナミにしてもこの家にひとり残されても、落ち着いて待っていることもできないだろう。
「お邪魔じゃなかったら、わたしもご一緒させて頂いてもいいかしら…。」
「えっ?そりゃあ自分もユカも大歓迎ですが、大酒飲んだ翌朝のウオーキングはキツイですよ…。」
「大丈夫です。」
「それなら確か…、義姉が使ってたジャージがあったな。」
 石嶋が着替えを探しに奥に入って行った。ナミは、とりあえずハンドバックから携帯歯ブラシを取り出し、歯を磨くと、顔を洗って昨夜からの化粧を落とし、軽く肌を整える程度の朝の顔を作った。その間もユカがナミのそばにべったり張りつき、不思議そうにナミのやっている事を見つめていた。
「ユカちゃんそんな目で見ないで。女がスッピンでいられるのは、ユカちゃんの頃から女子高の年代までよ。私くらいの年になるとね…。」
 石嶋が持ち出してきたジャージに着替えて、少し大きめだが、石嶋が昔使っていた運動靴も借りて準備は万端。3人はウオーキングに出発する。
 必死に歩くナミであるが、そんな距離を歩いていないのにもう息が上がってきた。ユカに手を引かれながら、肩で大きく息をしながら歩く。石嶋はそんなふたりを笑顔で眺めながら、後方からゆっくりと歩いていた。
「おいユカ。ナミ先生が苦しそうだから、少し休むか。」