ジーンズにTシャツというラフな服装なのにモデル並に着こなしている八頭身の男。

「お疲れ様です」

顔はよく見ずに先輩に教えられた通りの言葉を紡ぐ。

『何階ですか?』

振り向き、交わった視線に笑みを消す。

「……お名前は」

『1階ですか』

「綾瀬紫苑」

『残念ながら、私の名前は三条大翔です』

「いくつ名前持ってるんですか」

『1つですよ』


会う度に見た目や雰囲気が違うけれども、人の奥底の本性は変えられない。



じっと目を見つめ、その奥に潜む真意を見抜こうとする。

三条と名乗った奴も目をそらさないから意地の張り合いのように睨み合う。

チーン、1階です

その音に視線を反らした男は軽く頭を下げてエレベーターを降りていった。


「ちょっと」

「星那ちゃーん、お待たせ!!あれ、三条と知り合い?」

このタイミングで