「お疲れさまでしたー」

その場の先輩方に声をかけ、staff onlyと書かれた部屋の扉を閉めた。

私は大学に入ってすぐにアパレルメーカー“Continuer là pour vous” でバイトを始めた。

日本語で君のためにあり続ける、そんな意味らしい。


アパレルメーカーとはいっても私はそっち方面の学生じゃないので、事務仕事がほとんど。


『あ、星那ちゃん』

颯爽と歩いてきたスレンダーな美女な呼び止められる。

彼女は我妻結菜さん。
ここの社員でかなり優秀な人。

で、なぜだかものすごく可愛がられている


『いま終わり?』

「そうです」

『ちょうどよかった、お茶しにいかない?』

「いいですけど、結菜さん仕事は?」

『ふふ、今日はもうあがり!!』

嬉しそうに口元を緩める姿は年下かと思うようなあどけなさを孕んでいて。


「先に下で待ってますね」

『すぐ行くわ』


結菜さんと別れてエレベーターのボタンを押す。

10階建てのビルの10階すなわち最上階にエレベーターが止まっている。

下りてきたエレベーターの中を覗けば男の人が一人。