その日の夜、私はおばあちゃんと近くの銭湯に向かった。

自転車のカゴに荷物を入れ、並んで歩く。

こんな風に二人でどこかに行くのも、一体どれ位ぶりだろうか。


「おばあちゃん、背中流してあげる」


そう言ってタオルを手に、おばあちゃんの背中を流す。

おばあちゃんと二人でお風呂に入る事なんて、子供の頃以来で。

小さくなったその背中に、何だか少し泣きそうになる。


「今度は、おばあさんがみーちゃんの流したるわね」

「ありがとう」

「みーちゃんが遊びに来てくれて、おばあさん本当に嬉しいわ」


"ありがとうね"と、おばあちゃんは嬉しそうに何度も呟く。


「また、一緒に来ようね」


私のその言葉に、にこにこと笑った。


「みーちゃん、髪の毛乾かしたるよ」


家に帰ってすぐ、おばあちゃんは古びたドライヤーを取り出した。