「おばあちゃんも苦しいだろうから、もう機械はずしてあげましょうね…」


先生は、そう言って人口呼吸器に手をかける。


「待ってください…っ!まだ…」


いやだ…どうして。

だって、もしかしたら目を開けるかもしれないし。


神様、お願い。

まだ、連れて行かないで。


無理矢理に生かされているおばあちゃんは、もしかしたら苦しいのかもしれない。

だけど、だけど…まだ温かい手の温もりを、私は離せない。


呆然とするお母さんの横で、毅然とした態度を見せたのは妹だった。


「もう、はずしてあげて下さい」


その言葉に、泣き崩れたのは私で。


だって、まだこんなに温かいのに。

まるで眠るように、綺麗な顔をしているおばあちゃん。


本当に、死んじゃったの?


「3月14日11時54分…ご愁傷様です」


機械音が停まり、先生はそう言って手を合わせた。