2人が部屋を出て行き,ベッド
に倒れ込んだ空。

コンタクトレンズを外し,茶色
のカツラを取った。

銀色に光る髪と左右で色の違う
瞳が露になる。

額には大きな鳥のような傷痕が
浮かんでおり,手の甲には黒い。
タトゥーがあった。

左眼は深い青色で右眼は淡い
赤紫色に光っていた。

この姿を見て,多くの人が,あの
殺人鬼の名前を出す……

『黒崎剣護の様だ』と。
だから、隠していた。

空は髪を手でかき上げ,銀色の
髪を透かして見つめた。

「空,入るでー」出ていった海
が何故か戻ってきた。

「何かあったんか?」海の質問
に空は黙って、背伸びをした。

「何なんやろ…」空は笑った。

「俺…裏切者だ…」そう掠れた
声で呟き,空は欠伸をした。

偽りの自分と本当の自分を見る
度に、疑問を抱く。

皆を騙し、本当の自分は周りの
目が怖くて、隠れいる。

「最低な奴なんや…俺」空は
小さな声で唸ると、ベッドに倒れ
込んだ。