「なんか…先輩みたいに弾けたらいいなって思えて…。」
「どうしてですの?」
「どうしてって…先輩みたいにギターを上手くなってですね…、いろいろな人に自分の演奏を聞かせてあげたい…。」
「聞かせてどうするのですか?」
「いや…だから…幸せにしてあげたい…。」
佑樹の答えに汀怜奈は首を振ってため息をつく。
「よくもまあ、大業に人類愛をネタにして大嘘を言いますよね。佑樹さんはただ、さっきの女子高生たちの中にいたひとりに、よく思われたいだけでしょう。」
「ぐっ…。」
佑樹は、汀怜奈に言い当てられて次の言葉が出ない。
「つまり…女の子をモノにしたいから、ギターを上手になりたいってことですね。」
「モノにしたいって…それほど不純じゃないですけど、まあ意味的には近いかも…。」
「もちろん、お断りします。」
「先輩、そんな冷たいこと言わないで…。」
足早に歩き去る汀怜奈を、野菜を揺らしながら佑樹は追いすがる。
「ねえ先輩、お願いだから可愛い後輩の恋を応援してくださいよ。」
可愛い佑樹の願いといえども、汀怜奈はまったく相手にしなかった。女の子を口説くためにギターを弾くという佑樹の動機は、普通の男子高校生の動機として理解はできる。しかし、世界の一流ギタリスタの仲間入りをしている汀怜奈が、なんでそれに関与しなければならないのだ。そんなことに自分の技術を使ったら、自分にギター演奏の才と高い芸術的感性を与えてくださった神様に怒られてしまう。汀怜奈はすがる佑樹に構うことなく、顎をツンと上げてあゆみを早めた。
そっぽを向いた汀怜奈は玄関に着いても、足早に家に上がり込む。追いすがるようにしていた佑樹も仕方なく、担いでいた重い買い物袋を、玄関にドカッと置く。その音に気づいた父親が彼に声をかけた。
「ああ、佑樹。もう一回買い物に行ってくれるか。」
段取りの悪い父親は、カセットコンロを取り出して初めてガスが無くなっているのに気づいたようだ。
「それはおやじのミスだろ。おやじ行けよ。」
汀怜奈に相手にされなかった佑樹は、父親に八つ当たり。仕方なく父親はぶつくさ言いながら、買い物に出かけた。
「先輩、準備ができるまでリビングで待っていてください。すぐできますから。」
そう汀怜奈に声をかけて、佑樹は野菜を担いで台所に消えた。
「どうしてですの?」
「どうしてって…先輩みたいにギターを上手くなってですね…、いろいろな人に自分の演奏を聞かせてあげたい…。」
「聞かせてどうするのですか?」
「いや…だから…幸せにしてあげたい…。」
佑樹の答えに汀怜奈は首を振ってため息をつく。
「よくもまあ、大業に人類愛をネタにして大嘘を言いますよね。佑樹さんはただ、さっきの女子高生たちの中にいたひとりに、よく思われたいだけでしょう。」
「ぐっ…。」
佑樹は、汀怜奈に言い当てられて次の言葉が出ない。
「つまり…女の子をモノにしたいから、ギターを上手になりたいってことですね。」
「モノにしたいって…それほど不純じゃないですけど、まあ意味的には近いかも…。」
「もちろん、お断りします。」
「先輩、そんな冷たいこと言わないで…。」
足早に歩き去る汀怜奈を、野菜を揺らしながら佑樹は追いすがる。
「ねえ先輩、お願いだから可愛い後輩の恋を応援してくださいよ。」
可愛い佑樹の願いといえども、汀怜奈はまったく相手にしなかった。女の子を口説くためにギターを弾くという佑樹の動機は、普通の男子高校生の動機として理解はできる。しかし、世界の一流ギタリスタの仲間入りをしている汀怜奈が、なんでそれに関与しなければならないのだ。そんなことに自分の技術を使ったら、自分にギター演奏の才と高い芸術的感性を与えてくださった神様に怒られてしまう。汀怜奈はすがる佑樹に構うことなく、顎をツンと上げてあゆみを早めた。
そっぽを向いた汀怜奈は玄関に着いても、足早に家に上がり込む。追いすがるようにしていた佑樹も仕方なく、担いでいた重い買い物袋を、玄関にドカッと置く。その音に気づいた父親が彼に声をかけた。
「ああ、佑樹。もう一回買い物に行ってくれるか。」
段取りの悪い父親は、カセットコンロを取り出して初めてガスが無くなっているのに気づいたようだ。
「それはおやじのミスだろ。おやじ行けよ。」
汀怜奈に相手にされなかった佑樹は、父親に八つ当たり。仕方なく父親はぶつくさ言いながら、買い物に出かけた。
「先輩、準備ができるまでリビングで待っていてください。すぐできますから。」
そう汀怜奈に声をかけて、佑樹は野菜を担いで台所に消えた。



