その時彼の前を男が横切ろうとしていた事に気づかなかった。ギターのヘッドが前を通るその男の肘にわずかに当たった。いや、触ったという表現が正しい。
「痛ぇな!」
「あっ、すみません。」
佑樹はすぐ謝ったが、その男を見て息を飲んだ。その風体はまさに盛り場を意味もなくさまようチンピラの態だったのだ。
「おめえ、電車の中でなに振り回してんだよ。」
「すみません。本当にすみません。」
しきりに謝る佑樹だが、男は一向に難癖を付ける攻撃を緩めない。自分へダメージを与えた失礼をなじると言うよりは、もう理由の無い因縁をつけてきているレベルだ。もしかしたら、エライ奴に関わってしまったのか。
「ああ、痛ぇなぁ。痛みがおさまんねぇ。どうしてくれるんだ。」
「どうしてって…。そんなに強く当たったりはしてないかと…。」
「うるせい。人さまの痛みがお前に解るのかよ。」
チンピラの一喝に、関わりたくない周りの乗客がじりじりと距離を広げている。
「すっ、すみません。」
「すみませんばっかり言ってねえで、俺の痛みをどうしてくれんのか具体的に言ってくれよ。」
ひたすら低姿勢で人がよさそうな佑樹を見切ったのか、男は図に乗ってきた。脅して何か利を得ようとしているようだ。
「だいたいカッコつけて、狭い車内こんなもん持ち歩いてんじゃねえょ。」
男は足元にあるギターをこつんと蹴飛ばした。
「失礼でございますが。」
チンピラの背後から声をかけてきた人物がいた。
「あなたは今、何をされましたか。」
チンピラが振り返るとそこにサングラスを掛けた人物が立っている。佑樹も声の主を見上げると、今まで佑樹の前に座っていたあの妖しい人物だった。チンピラは一瞬警戒したが、声をかけてきた奴が自分より背が低く華奢なガタイだったので、また顎を上げて威嚇的に応対する。
「なんだ、てめえ。何か文句があるのかよ。」
「私は、今あなたが何をしましたかと聞いています。」
「うるせえな、変な日本語使いやがって…ああ、ギターを蹴ったがそれがどうした。」
チンピラがサングラスの人物に詰め寄る。
「あっと、もっと落ち着いて話し合い…」
ふたりの間に割って入った佑樹。
「邪魔すんじゃねえ!」
チンピラは、怒声と共に佑樹を弾き飛ばした。
「もう我慢できません。ギターを蹴るばかりか、義無き粗暴をなすよう人は、お仕置きですわだぁー!」
「痛ぇな!」
「あっ、すみません。」
佑樹はすぐ謝ったが、その男を見て息を飲んだ。その風体はまさに盛り場を意味もなくさまようチンピラの態だったのだ。
「おめえ、電車の中でなに振り回してんだよ。」
「すみません。本当にすみません。」
しきりに謝る佑樹だが、男は一向に難癖を付ける攻撃を緩めない。自分へダメージを与えた失礼をなじると言うよりは、もう理由の無い因縁をつけてきているレベルだ。もしかしたら、エライ奴に関わってしまったのか。
「ああ、痛ぇなぁ。痛みがおさまんねぇ。どうしてくれるんだ。」
「どうしてって…。そんなに強く当たったりはしてないかと…。」
「うるせい。人さまの痛みがお前に解るのかよ。」
チンピラの一喝に、関わりたくない周りの乗客がじりじりと距離を広げている。
「すっ、すみません。」
「すみませんばっかり言ってねえで、俺の痛みをどうしてくれんのか具体的に言ってくれよ。」
ひたすら低姿勢で人がよさそうな佑樹を見切ったのか、男は図に乗ってきた。脅して何か利を得ようとしているようだ。
「だいたいカッコつけて、狭い車内こんなもん持ち歩いてんじゃねえょ。」
男は足元にあるギターをこつんと蹴飛ばした。
「失礼でございますが。」
チンピラの背後から声をかけてきた人物がいた。
「あなたは今、何をされましたか。」
チンピラが振り返るとそこにサングラスを掛けた人物が立っている。佑樹も声の主を見上げると、今まで佑樹の前に座っていたあの妖しい人物だった。チンピラは一瞬警戒したが、声をかけてきた奴が自分より背が低く華奢なガタイだったので、また顎を上げて威嚇的に応対する。
「なんだ、てめえ。何か文句があるのかよ。」
「私は、今あなたが何をしましたかと聞いています。」
「うるせえな、変な日本語使いやがって…ああ、ギターを蹴ったがそれがどうした。」
チンピラがサングラスの人物に詰め寄る。
「あっと、もっと落ち着いて話し合い…」
ふたりの間に割って入った佑樹。
「邪魔すんじゃねえ!」
チンピラは、怒声と共に佑樹を弾き飛ばした。
「もう我慢できません。ギターを蹴るばかりか、義無き粗暴をなすよう人は、お仕置きですわだぁー!」



