ほとんどギブアップ宣言ともいえるような弱気なひとりごと。布団の中で汀怜奈の瞳に自然と涙が溢れてきた。天才と呼ばれても、K—1が好きでも、所詮は21歳の乙女である。その華奢な肩に重すぎる芸術的命題を背負わされた可愛そうな汀怜奈。今夜は泣くしかなかった。
しかし、こんな可憐な汀怜奈をロドリーゴ氏が見放すわけがない。久留米のホテルをチェックアウトし羽田空港に到着した汀怜奈は、田園調布の自宅に帰る途中に運命的な出会いを果たすことになる。それはまさに、天国のロドリーゴ氏の配剤としか思えなかった。
京都の三条大橋。桜の時期はとうに過ぎたが、街は観光客で溢れている。古都の春の陽気。観光に勤しむ観光客の笑顔とは裏腹に、千葉女子高の仲良し4人組は、少し緊張した面持ちで橋の上で身を寄せ合っている。橋の上から鴨川を眺めれば、春の日射しに水面がきらきらと輝いていてとても美しい様なのだが、彼女たちにはそんな景色を観る余裕が無い。まもなく文通相手の同志社の大学生が来る予定なのだ。
実はミチエの緊張は、他の3人とは違った理由である。文通相手に初めて返事を出して1カ月になるが、相手から手紙が届いていない。それまでは1カ月に一通も来なかったことなどなかった。重ねて確認の手紙を出すのもクドイと思われそうで控えていたのだが、結局今日に至っても何の連絡もない。待ち合わせ場所と時間は、幹事のアオキャンを通じて伝わっているはずなのだが…。来てもらえるのだろうか。
『来てもらえるのだろうかって…私はなんでこんなにヤキモキしてるのかしら?』
ミチエは自分に言い聞かせた。失礼な言い方を許してもらえるなら、相手は私のことはお構いなしに、好き勝手なことを書いて一方的に手紙を送って来るだけの大学生。別に無理して会う必要もない。なのに…。ミチエはどうしても気が揉める自分を静めることができないようだった。
「ねえ、胸の動悸がおさまらないの。どうしよう…。」
オダチンが胸を押さえて親友たちに訴えると、アッチャンがすかさず応じる。
「そうね、こっちに来る男の人たち全員、文通相手に見えて、膝の震えがとまらないわ。でも、アオキャン…。」
「なに…。」
「良く見たらあんた、お化粧してるんじゃない?」
「えっ…してないわよ。」
「いや、いつもより唇が赤い。あんた絶対お化粧してる。」
「してないったら…。」
しかし、こんな可憐な汀怜奈をロドリーゴ氏が見放すわけがない。久留米のホテルをチェックアウトし羽田空港に到着した汀怜奈は、田園調布の自宅に帰る途中に運命的な出会いを果たすことになる。それはまさに、天国のロドリーゴ氏の配剤としか思えなかった。
京都の三条大橋。桜の時期はとうに過ぎたが、街は観光客で溢れている。古都の春の陽気。観光に勤しむ観光客の笑顔とは裏腹に、千葉女子高の仲良し4人組は、少し緊張した面持ちで橋の上で身を寄せ合っている。橋の上から鴨川を眺めれば、春の日射しに水面がきらきらと輝いていてとても美しい様なのだが、彼女たちにはそんな景色を観る余裕が無い。まもなく文通相手の同志社の大学生が来る予定なのだ。
実はミチエの緊張は、他の3人とは違った理由である。文通相手に初めて返事を出して1カ月になるが、相手から手紙が届いていない。それまでは1カ月に一通も来なかったことなどなかった。重ねて確認の手紙を出すのもクドイと思われそうで控えていたのだが、結局今日に至っても何の連絡もない。待ち合わせ場所と時間は、幹事のアオキャンを通じて伝わっているはずなのだが…。来てもらえるのだろうか。
『来てもらえるのだろうかって…私はなんでこんなにヤキモキしてるのかしら?』
ミチエは自分に言い聞かせた。失礼な言い方を許してもらえるなら、相手は私のことはお構いなしに、好き勝手なことを書いて一方的に手紙を送って来るだけの大学生。別に無理して会う必要もない。なのに…。ミチエはどうしても気が揉める自分を静めることができないようだった。
「ねえ、胸の動悸がおさまらないの。どうしよう…。」
オダチンが胸を押さえて親友たちに訴えると、アッチャンがすかさず応じる。
「そうね、こっちに来る男の人たち全員、文通相手に見えて、膝の震えがとまらないわ。でも、アオキャン…。」
「なに…。」
「良く見たらあんた、お化粧してるんじゃない?」
「えっ…してないわよ。」
「いや、いつもより唇が赤い。あんた絶対お化粧してる。」
「してないったら…。」



