凪を下ろしながら、不満顔で言う母親。4人は、海風が渡る庭のガーデンチェアに座って、花摘みに忙しい凪を優しい笑顔で見守った。
「そういえばヤスヒデさん。ご出版おめでとうございます。これ…お祝いです。受け取ってください。」
汀怜奈の母親が、佑樹の父にリボンのついた小さな箱を渡した。
「出版?」
佑樹が怪訝な顔で父親に問いかける。
「ああ、言ってなかったけ…最近本出してさ…。」
「エロ小説?」
「まさか…ほら、亡くなる前に聞いたじいちゃんの話し、あれをベースに恋愛小説書いたら、珍しく編集者が認めてくれてさ…。」
佑樹の父親は、嬉しそうに小箱を開いた。中には、ウォーターマンの万年筆が入っていた。
「いやー、嬉しいな。信子さんありがとう。高かったでしょう…。」
「ヤスヒデさんも、もう作家の仲間入りですからね。少しはいい筆記用具をお持ちになった方が…。」
そんなふたりのやり取りを、汀怜奈はにこやかに見守りながら言った。
「ところで、アブエラもアブエロも、いつも申し合わせたようにここでお顔をあわせて、いつの間にかふたりで姿を消されてしまいますけど…。」
「そうだよ、うちはデートの待ち合わせ場所じゃないんだからな。」
「佑樹、なんてこと言うんだ。汀怜奈さんのお母さんに失礼だろ。」
「私たちは、凪ちゃんに会いたいから来て、いつも偶然お会いするんです。」
そう言う母親がわずかながら顔を赤くしたのを汀怜奈は見逃さなかった。
「佑樹さんは、アブエロがアブエラとあまりにも仲がいいから、ヤキモチをやいているのですよ。」
「そうだよオヤジ。たまには一緒に飲もうよ。愚痴でも悩みでも聞いてやるから」
「お前と飲んでもなぁ。」
「なんだよ。」
「それに愚痴や悩みなら、凪ちゃんの方が話しやすい。」
「1歳半の子に…マジかよ。」
「ああ、『御魂声 染み渡るかな 凪の海』とはよく言ったもんだ。」
汀怜奈の表情が変わった。
「アブエロ。それって…。」
「えっ、今の?」
汀怜奈が勢い込んで頷く。
「ああ、死んだじいちゃんがよく言ってたんだ。なんだか、どっかの庭の門に書いてあったんだって。」
汀怜奈が急に怒り出した。
「知っていらっしゃるなら、早くおしえてください。」
「えっ、何が…」
「あああ、オヤジ…また汀怜奈を怒らせちゃった。」
「なぜ?どうして?」
「そういえばヤスヒデさん。ご出版おめでとうございます。これ…お祝いです。受け取ってください。」
汀怜奈の母親が、佑樹の父にリボンのついた小さな箱を渡した。
「出版?」
佑樹が怪訝な顔で父親に問いかける。
「ああ、言ってなかったけ…最近本出してさ…。」
「エロ小説?」
「まさか…ほら、亡くなる前に聞いたじいちゃんの話し、あれをベースに恋愛小説書いたら、珍しく編集者が認めてくれてさ…。」
佑樹の父親は、嬉しそうに小箱を開いた。中には、ウォーターマンの万年筆が入っていた。
「いやー、嬉しいな。信子さんありがとう。高かったでしょう…。」
「ヤスヒデさんも、もう作家の仲間入りですからね。少しはいい筆記用具をお持ちになった方が…。」
そんなふたりのやり取りを、汀怜奈はにこやかに見守りながら言った。
「ところで、アブエラもアブエロも、いつも申し合わせたようにここでお顔をあわせて、いつの間にかふたりで姿を消されてしまいますけど…。」
「そうだよ、うちはデートの待ち合わせ場所じゃないんだからな。」
「佑樹、なんてこと言うんだ。汀怜奈さんのお母さんに失礼だろ。」
「私たちは、凪ちゃんに会いたいから来て、いつも偶然お会いするんです。」
そう言う母親がわずかながら顔を赤くしたのを汀怜奈は見逃さなかった。
「佑樹さんは、アブエロがアブエラとあまりにも仲がいいから、ヤキモチをやいているのですよ。」
「そうだよオヤジ。たまには一緒に飲もうよ。愚痴でも悩みでも聞いてやるから」
「お前と飲んでもなぁ。」
「なんだよ。」
「それに愚痴や悩みなら、凪ちゃんの方が話しやすい。」
「1歳半の子に…マジかよ。」
「ああ、『御魂声 染み渡るかな 凪の海』とはよく言ったもんだ。」
汀怜奈の表情が変わった。
「アブエロ。それって…。」
「えっ、今の?」
汀怜奈が勢い込んで頷く。
「ああ、死んだじいちゃんがよく言ってたんだ。なんだか、どっかの庭の門に書いてあったんだって。」
汀怜奈が急に怒り出した。
「知っていらっしゃるなら、早くおしえてください。」
「えっ、何が…」
「あああ、オヤジ…また汀怜奈を怒らせちゃった。」
「なぜ?どうして?」



