泰滋は目を凝らしてあらためて工房を眺め直した。そう、月の光に浮かんできた風景は、確かに作りかけのギターが、所狭しと立てかけられ、そして吊り下げられている木工の工房だった。
「悪いが、水をとってくれんか…久しぶりのおしゃべりでのどか乾いてたまらん。」
「じいちゃん。無理しないで、この続きは明日にでも…。」
佑樹がストローのついたコップをじいちゃんに渡しながら言った。もちろん、おじいさんには無理をさせられない。そうは分かっていても、固唾を飲み込みながら彼の話を聞いていた汀怜奈は、ようやく知りたい話の核心に入ってきたので、ここで終わってほしくない気持ちもあり、その葛藤で心が揺れていた。
「じいちゃんがギター職人だったなんて、意外だな。親父は知っていたの。」
「俺が生まれる前の話だからな、知るわけもない。」
ストローを弱々しく吸って喉を潤すじいちゃんを、佑樹と父親が見つめた。
「なに誤解しておる…わしがギター職人になったなんて、誰が言ったのだ。」
「えっ、違うの?」
「だから…。」
勢い込んで話しを始めたせいか、おじいちゃんが少し咳き込んだ。汀怜奈はすかさずおじいちゃんの手にあるコップを受け取ると、優しくその背中をなぜる。
「おじいさま、本当にお話を続けてよろしいのですか。」
「ああ…すまないね。今日はことのほか意識がはっきりしている。こんな日に皆に話しておかんと、話せる機会を失ってしまうかもしれん。どうか、続けさせてくれるかい。」
笑顔で答えるおじいちゃんに、汀怜奈も気持ちの整理をして、彼の話しに集中することにした。
「そのギター工房から帰るとすぐに、わしはママに言ったんだ。居酒屋で変なじいさんに声かけられて、仕事を手伝ってくれないかと誘われたことをね。そうしたら、ママは言ったよ。」
『どんなお仕事なの?』
『どうも手作りギターを作る仕事の手伝いらしい。』
『ふーん…私は反対だわ。』
『えっ、だめなの?どうしてなのさママ…さっきは、何か趣味でもいいからなにかやれって言ってたじゃないか。』
『ええ、だから仕事のお手伝いだったら反対です。でも、お金をもらわないで趣味でお手伝いに行くなら反対しないけど。』
「えっ、どういう意味なの」
不思議そうな顔で佑樹が尋ねる。
「悪いが、水をとってくれんか…久しぶりのおしゃべりでのどか乾いてたまらん。」
「じいちゃん。無理しないで、この続きは明日にでも…。」
佑樹がストローのついたコップをじいちゃんに渡しながら言った。もちろん、おじいさんには無理をさせられない。そうは分かっていても、固唾を飲み込みながら彼の話を聞いていた汀怜奈は、ようやく知りたい話の核心に入ってきたので、ここで終わってほしくない気持ちもあり、その葛藤で心が揺れていた。
「じいちゃんがギター職人だったなんて、意外だな。親父は知っていたの。」
「俺が生まれる前の話だからな、知るわけもない。」
ストローを弱々しく吸って喉を潤すじいちゃんを、佑樹と父親が見つめた。
「なに誤解しておる…わしがギター職人になったなんて、誰が言ったのだ。」
「えっ、違うの?」
「だから…。」
勢い込んで話しを始めたせいか、おじいちゃんが少し咳き込んだ。汀怜奈はすかさずおじいちゃんの手にあるコップを受け取ると、優しくその背中をなぜる。
「おじいさま、本当にお話を続けてよろしいのですか。」
「ああ…すまないね。今日はことのほか意識がはっきりしている。こんな日に皆に話しておかんと、話せる機会を失ってしまうかもしれん。どうか、続けさせてくれるかい。」
笑顔で答えるおじいちゃんに、汀怜奈も気持ちの整理をして、彼の話しに集中することにした。
「そのギター工房から帰るとすぐに、わしはママに言ったんだ。居酒屋で変なじいさんに声かけられて、仕事を手伝ってくれないかと誘われたことをね。そうしたら、ママは言ったよ。」
『どんなお仕事なの?』
『どうも手作りギターを作る仕事の手伝いらしい。』
『ふーん…私は反対だわ。』
『えっ、だめなの?どうしてなのさママ…さっきは、何か趣味でもいいからなにかやれって言ってたじゃないか。』
『ええ、だから仕事のお手伝いだったら反対です。でも、お金をもらわないで趣味でお手伝いに行くなら反対しないけど。』
「えっ、どういう意味なの」
不思議そうな顔で佑樹が尋ねる。



