「私は十分、幸せだよ」



ディランは、少し、悲しそうな顔をした。



「みやは、もっと、もっと、欲しがるべきなのに」




「なにを?」



首を傾げて、彼を見た私に、ディランはただ黙って、目配せをした。



秋が終わって、冬の空気が漂いだしたこの頃は、色々なことが変わり始める予感がした。