想像とは違った反応に、私は戸惑いを隠せず唖然とするしかなかった……。

「本来ならスールズ村は、他の国でも有名な独立村。だから手形がない限り、他の国の者が近づくことはないのさ」

他の国が…近づかない村……。
そんなの初めて知った……。

―――生まれて初めて知ったんだ……。


「そんなに気を落とさなくてもいいんじゃねえの?」

今まで世界のことを知らなかったことへの自分に腹が立ち、俯いていた私にジョセフさんは優しくそう言った。

「王家だとか皇女かなんて関係ない。
今このスールズ村に居る以上、俺達の家族なんだからさ」

「……っ…うぅ……」

なんでだろう……。
涙が止まらない…なんでだろう……

―――分からない。けど、嬉しい……。

家族なんてそんなの気に掛けてもなかった。
私は第一皇女……ただただ皇女としての礼儀と生活を重んじてただけに、家族という概念が全く無かった……。

「あれ!?俺、なんか泣かせるようなこと言ったか!?」

慌てるジョセフさんに私は懸命に首を左右に振って、なんとか口を動かす。

「全然…国の、ことや……
この世の中を……知ってない自分が……
悔しくて……!」