これは、天神と魔神が作り出したとされる…
アルハランという名の世界の物語。

―――天神の理想―――

―――魔神の理想―――

それぞれの神が願う理想が交差し、争いが始まった。
天神と魔神、どちらが世界を正すか。

その理由により、各国で領土の奪い合い。
そして、神子殺しが始まる。

天神と魔神……本物はどちらなのか。

誰も知るよしは、ない。

**********

当たりに静けさが増した夜刻。
私は気味の悪い森の中をただただ歩いていた。

足は痛いし、1人で歩くのは、気が滅入ってしまう。

どうしよう。。

そろそろ周りが暗くなってきた
道はあまり見えなくなってて周りの景色も黒ずんでるようでなにがあるのか、りわからない。

そんな道を一人で歩いている私は不安で仕方なかった。

なんせ、この暗さだと襲われたら成す術がない。格好の餌食というやつか。

とりあえず、早くここを出なきゃ……。

そう考える度に足を速める。


もうどれぐらい歩いただろうか。

―――そんなの分からない。


こんなとこ、早く出たい……
本当嫌だ。気味悪いし。

「あっ……」

咄嗟に気付いた。

道の先に光が見える。
その光は小さな光が1つに集まったかのような明るい光。

―――街だ―――


そう気付いた私はその光に向かってただひたすら走った。


**************

どのくらい走ったかなんて、分からない。
ただ、光に向かって走って行くうちに、明かりが大きくなってきた。

―――町だ。

今まで見えてた光は町だったんだ……。

町を見つけたことで、今までの疲労がどっと来ると共に、安心感が出てくる。

とにかく、あの町で休もう。
そう思い、私は町に向かって走った。


町への距離が近くなっていくにつれ、入り口であろうとこが見えた。

入り口の前には1人、大柄で体躯の良い人が居る。恐らく、門番だろう。

門は開いたままだし、まだ入れるってことだろうか。
私は門に向かって走り、そのまま中に入る……ところで。。

「待ちなさい」
荒そうな声と同時に、斧の柄により入り口が塞がれる。

「君、手形を持っているのかね?」

手形…?
そんなの持ってない。
町に入るのに、、手形っているものなの?

私は持ってないので、弱々しく首を左右に振る。
その様子に門番の顔つきが厳しくなる。

「ダメだ。手形を持っていない者には通せん」
「でも……」
「ダメなもんはダメだ。さっさと帰れ」

そんな……。

私は今、スールズという遥か南にある村に来たのだが。。

村の入口前に佇んでいる門番らしき人に手形を要求され、持ってない私を不審がり、今に至る。


これじゃあ野宿だよ……。
もう三度目になるし、、そろそろ嫌気が差す。

「あの…私は怪しいものじゃないんです!通してください!」

そう訴える私を門番は鬱陶しげに見つめる。

「君ね、無理なもんは無理なんだよ」

「………。」

撃沈……。
確かに無理なものに強制するわけにはいかない。
それは間違いなく、度が過ぎれば犯罪と見なされる。

もう言葉すら出ない私は肩を落とす。
仕方ないよね……手形を見せろと言われたらなんも出来ないし……。

他を当たろう。

「おい、ちゃんと待ってろって言っただろ」

「え……?」

後ろから明るい声が聞こえ、後ろを振り返る。
と、そこには大荷物を持った……少年。
いや、青年というべきだろうか。

その青年はニヤっと私に笑いかけると門番の前まで足を進めた。

「お?ジョセフじゃないか」

青年の顔を認めた門番はその青年の名前であろうことを言って笑いかけている。

ここの村の人なんかな……。

「お久しぶり!ニーガルさん」

明るく元気な声で言う青年こと、ジョセフという人は笑いながらそう言って、私の方に振り返る。

「本当、せっかちだよなあ。
待てっていったのにさあ」

え?

この人、、今なんて言った……。

「え?なにが、、ですか?」

「なにがって、決まってんだろ。
俺に荷物を持たせて置いていくんだからよ」

……どうゆうこと?
私はこの人のことを知らない。
会ったことも無ければ、話したこともない。

だからか、この人の言ってる意味が理解できなかった。

「ジョセフ、知り合いなのか?」


そう問いかける門番に青年は―――
頷いた―――

「うん。俺の知り合いだよ。
じゃないと話しかけるわけないでしょ」

青年の言葉に私の頭はどんどん混乱していく。
一体なにを考えてるのか、全然分からない。

それでも私は、ただ黙っておくことしか…

―――できなかった。。