ようやく顔をあげたアポロンは、真奈美の姿を見て凍りついた。それと同時に、アポロンに直接見つめられた真奈美の身体も凍りつく。初めて会った時はサングラス越しで解らなかったが、直接見る彼の瞳は、すこし緑がかっていた。その瞳で見つめられただけで、なんで自分の身体が硬直するのか真奈美はまったく理由がわからない。これじゃバンパイアに狙われた処女同然だ。一方、アポロンの凍りついた理由はすぐにわかった。
「君は、プライベートでも、その制服で人に会いに行くのか?」
アポロンは首を振りながら、真奈美に近づいた。比較的上背のある真奈美より、さらに頭ひとつ長身のアポロンは、今は上着を脱いでいた。白いドレスシャツからも、その肩幅の広さと胸板の厚さが容易に想像できる。アポロンが近づくにしたがい、真奈美の胸の高まりが激しくなる。あんまり近づくんじゃない。胸の鼓動に気づかれてしまう。
「それに、この髪に…この肌…。いくら肉体労働だとは言え、無関心過ぎないか。」
ついにアポロンは、真奈美の髪を指でつまむぐらいの距離までやって来た。真奈美は男の『香り』というものを初めて五感に感じた。それは『匂い』という鼻に着きそうな雑なレベルのものではない。身体が包まれるように感じる繊細で柔らかなものだった。真奈美は落ちそうな自分に慌てて鞭を打った。
「仕事終わりで急いできたもので…不快にさせてすみません。でも、家に着替えに帰っても、結局ご期待には沿えないかと…。」
アポロンはしばらく腕組みをして真奈美を見つめていが、やがてデスクに戻り上着を引っ掛けると彼女の腕を取った。
「一緒に来い。」
2時間後、真奈美はアポロンとウェスティンホテル東京の22階のレストラン『ビクターズ』で食事を取っていた。真奈美はこの状況が信じられない。本来夜景を眺める大きな窓のガラス面に、自分の姿を映して見ると、そこには、今まで見たことのない自分がいた。
オフィスから真奈美を連れ出したアポロンは、彼女を車に同乗させると青山通りを走り抜けた。車はやはり高級外車であったが、昼に自分がぶつけた車とは別な車だ。この人はこんな高級車を何台持っているのだろうか。真奈美は半分呆れながら、運転するアポロンの彫刻のような横顔を盗み見た。
「君は、プライベートでも、その制服で人に会いに行くのか?」
アポロンは首を振りながら、真奈美に近づいた。比較的上背のある真奈美より、さらに頭ひとつ長身のアポロンは、今は上着を脱いでいた。白いドレスシャツからも、その肩幅の広さと胸板の厚さが容易に想像できる。アポロンが近づくにしたがい、真奈美の胸の高まりが激しくなる。あんまり近づくんじゃない。胸の鼓動に気づかれてしまう。
「それに、この髪に…この肌…。いくら肉体労働だとは言え、無関心過ぎないか。」
ついにアポロンは、真奈美の髪を指でつまむぐらいの距離までやって来た。真奈美は男の『香り』というものを初めて五感に感じた。それは『匂い』という鼻に着きそうな雑なレベルのものではない。身体が包まれるように感じる繊細で柔らかなものだった。真奈美は落ちそうな自分に慌てて鞭を打った。
「仕事終わりで急いできたもので…不快にさせてすみません。でも、家に着替えに帰っても、結局ご期待には沿えないかと…。」
アポロンはしばらく腕組みをして真奈美を見つめていが、やがてデスクに戻り上着を引っ掛けると彼女の腕を取った。
「一緒に来い。」
2時間後、真奈美はアポロンとウェスティンホテル東京の22階のレストラン『ビクターズ』で食事を取っていた。真奈美はこの状況が信じられない。本来夜景を眺める大きな窓のガラス面に、自分の姿を映して見ると、そこには、今まで見たことのない自分がいた。
オフィスから真奈美を連れ出したアポロンは、彼女を車に同乗させると青山通りを走り抜けた。車はやはり高級外車であったが、昼に自分がぶつけた車とは別な車だ。この人はこんな高級車を何台持っているのだろうか。真奈美は半分呆れながら、運転するアポロンの彫刻のような横顔を盗み見た。



