処置室の大鏡の内側で、守本ドクターが必死に代議士夫人に説明している。この部屋は、マジックミラーを通して受精卵が代理母に挿入されるのを、依頼者が確認できる仕組みになっている。代議士夫人は、鏡の内側から、笑顔で椅子から降りる真奈美を、無表情で見下ろしていた。
「約束通り、2週間後に私の目の前であの田舎娘を妊娠チェックして、妊娠したという結果を見せて。」
「ですから、奥様…。」
「説明なんか要らない。あんた方プロでしょ。結果だけ見せて。」
代議士夫人は、同席する秋良に向き直って言った。
「プロとして結果が出せないなら、私は約束通りのことをするだけよ。」
代議士夫人の威嚇的な視線を一身に受ける秋良。その間に守本ドクターが必死に入ろうとする。
「ですが奥様、代理母はいても、着床させる受精卵もありません。今度は、直接おふたりの卵子と精子をいただいて、当クリニックで受精させれば、確実に来月には着床が可能かと…。」
「主人に採取できる精子なんかあるわけないでしょ。」
「はいっ?」
「それに、これ以上私の身体の中を探られるなんてとんでもないわよ。もともと渡した凍結精子は、夫のものじゃない。遺伝子なんてどうでもいいの。生まれてきた子供の遺伝子検査なんてやらないし、絶対にさせない。主人はあの田舎娘から出てきた子供が自分達の子供だと思い込んでる。だから、あの娘から出てきた子で血液型さえあっていればそれでいいの。障害児だろうがなんだろうが、どんな子が生まれてきてもまったく構わない。だいたい、大臣経験のある政治家の夫婦が、こんなわけのわからない会社を、法の隙間を縫ってまで選んだ理由がわかっているの?」
代議士夫人は、秋良と守本を交互に睨みつけた。
「どんな子であろうと、実子として戸籍に入れられるからよ。どうしても10カ月後の戸籍に、実子として子供の名前が表記されなければならない。私たちは子供が欲しいんじゃないの。戸籍が欲しいの。」
秋良も守本ドクターも、興奮してまくし立てる代議士夫人に押されて、黙って見つめていた。
「わかったら、さっさとあの田舎娘を椅子に戻して、誰かの受精卵を入れなさい。2週間後にあの田舎娘が妊娠した証拠を見せることが出来なければ、あなた達に明日は来ない。主人も言っていたわ、結果が出せないプロは、生存の価値はないってね。」
「約束通り、2週間後に私の目の前であの田舎娘を妊娠チェックして、妊娠したという結果を見せて。」
「ですから、奥様…。」
「説明なんか要らない。あんた方プロでしょ。結果だけ見せて。」
代議士夫人は、同席する秋良に向き直って言った。
「プロとして結果が出せないなら、私は約束通りのことをするだけよ。」
代議士夫人の威嚇的な視線を一身に受ける秋良。その間に守本ドクターが必死に入ろうとする。
「ですが奥様、代理母はいても、着床させる受精卵もありません。今度は、直接おふたりの卵子と精子をいただいて、当クリニックで受精させれば、確実に来月には着床が可能かと…。」
「主人に採取できる精子なんかあるわけないでしょ。」
「はいっ?」
「それに、これ以上私の身体の中を探られるなんてとんでもないわよ。もともと渡した凍結精子は、夫のものじゃない。遺伝子なんてどうでもいいの。生まれてきた子供の遺伝子検査なんてやらないし、絶対にさせない。主人はあの田舎娘から出てきた子供が自分達の子供だと思い込んでる。だから、あの娘から出てきた子で血液型さえあっていればそれでいいの。障害児だろうがなんだろうが、どんな子が生まれてきてもまったく構わない。だいたい、大臣経験のある政治家の夫婦が、こんなわけのわからない会社を、法の隙間を縫ってまで選んだ理由がわかっているの?」
代議士夫人は、秋良と守本を交互に睨みつけた。
「どんな子であろうと、実子として戸籍に入れられるからよ。どうしても10カ月後の戸籍に、実子として子供の名前が表記されなければならない。私たちは子供が欲しいんじゃないの。戸籍が欲しいの。」
秋良も守本ドクターも、興奮してまくし立てる代議士夫人に押されて、黙って見つめていた。
「わかったら、さっさとあの田舎娘を椅子に戻して、誰かの受精卵を入れなさい。2週間後にあの田舎娘が妊娠した証拠を見せることが出来なければ、あなた達に明日は来ない。主人も言っていたわ、結果が出せないプロは、生存の価値はないってね。」



