「まず君の身体を徹底的に検査させてもらう。いわゆるメディカルチェックだ。そこで身体の隅々まで健全であることが確認できたら、雇用契約を結ぶことになる。そして雇用期間中は、君は会社が指定する住居に住み、会社の徹底したヘルス管理の元に置かれる。家族と連絡することは可能だが、仕事の話しを一切してはならない。また雇用期間中は会うことも出来ない。」
秋良はここで間を置いた。当然発せられる真奈美からの質問を待ったのだ。しかし真奈美は、青ざめた顔をこわばらせているだけで、なかなか口を開こうとしない。急展開する秋良の話しについていくことが出来ず、理解するのにかなりの時間が必要だったのだ。しばらくしても、真奈美からの質問が無いので、秋良は焦れてその質問を、自分から口にした。
「では、いったい何の仕事なのか…。」
秋良は、コーヒーカップを口に運び、苦い液体を一口喉に通す。その秋良の喉仏の動きに合わせ、真奈美も固唾を飲んだ。
「悩める善良な夫婦の為に、君の子宮を貸し出して欲しい。」
真奈美は、聞いてはいけなかったことを聞いてしまった気になった。怖さが頂点に達して気分が悪くなってきた。
「臓器売買なの?」
「まさか…。たとえ爪の先であろうとも、君の身体を切り取ったりしない。貸し出す前も後も、健全な身体のままだ。」
「まさか新手の売春?」
「売春なんて時代遅れなビジネスじゃ、港区の一等地に洒落たオフィスを構えられないよ。」
秋良は、青ざめる真奈美の顔をのぞき込み、唇の隅にわずかな笑みを浮かべた。
「非合法ではあるが、うちは国内で唯一、日本人の、日本人による、日本人の為の代理出産をコーディネートする会社なんだ。」
真奈美は憤然として席を蹴った。
「こんな話まともじゃないわ。」
真奈美は秋良にそう言い放つと、テーブルナプキンを叩きつけ、肩を怒らせて出口に向かって歩いて行った。秋良はそんな彼女の反応と行動にも慌てることなく、静かに後ろ姿を見送った。誰でもこんな話を聞けば、最初は真奈美と同じ反応を示す。それは幾度かのリクルートで経験済みだ。しかし、秋良は解っていた。選択の余地のないものだけにこの話をするのだ。しばらく様子を見ることにしよう。
秋良はここで間を置いた。当然発せられる真奈美からの質問を待ったのだ。しかし真奈美は、青ざめた顔をこわばらせているだけで、なかなか口を開こうとしない。急展開する秋良の話しについていくことが出来ず、理解するのにかなりの時間が必要だったのだ。しばらくしても、真奈美からの質問が無いので、秋良は焦れてその質問を、自分から口にした。
「では、いったい何の仕事なのか…。」
秋良は、コーヒーカップを口に運び、苦い液体を一口喉に通す。その秋良の喉仏の動きに合わせ、真奈美も固唾を飲んだ。
「悩める善良な夫婦の為に、君の子宮を貸し出して欲しい。」
真奈美は、聞いてはいけなかったことを聞いてしまった気になった。怖さが頂点に達して気分が悪くなってきた。
「臓器売買なの?」
「まさか…。たとえ爪の先であろうとも、君の身体を切り取ったりしない。貸し出す前も後も、健全な身体のままだ。」
「まさか新手の売春?」
「売春なんて時代遅れなビジネスじゃ、港区の一等地に洒落たオフィスを構えられないよ。」
秋良は、青ざめる真奈美の顔をのぞき込み、唇の隅にわずかな笑みを浮かべた。
「非合法ではあるが、うちは国内で唯一、日本人の、日本人による、日本人の為の代理出産をコーディネートする会社なんだ。」
真奈美は憤然として席を蹴った。
「こんな話まともじゃないわ。」
真奈美は秋良にそう言い放つと、テーブルナプキンを叩きつけ、肩を怒らせて出口に向かって歩いて行った。秋良はそんな彼女の反応と行動にも慌てることなく、静かに後ろ姿を見送った。誰でもこんな話を聞けば、最初は真奈美と同じ反応を示す。それは幾度かのリクルートで経験済みだ。しかし、秋良は解っていた。選択の余地のないものだけにこの話をするのだ。しばらく様子を見ることにしよう。



