やがて車が原宿へ到着すると、アポロンは真奈美をエスティックサロンへ投げ込んだ。戸惑う真奈美を尻目に、アポロンがマネージャーにゴールドカードを見せながら、指示を出す。すると何人ものスタッフが真奈美を取り囲み、嫌がる彼女を取り押さえて服を脱がせた。ジャグジー、スキンケア、ヘアケア、コスメ、ネイルケア。スタッフは真奈美の全身に様々なビューティー・ケアを施していく。
その間アポロンは、電話で指示を飛ばし、次々と服と靴をエスティックサロンへ運ばせた。服や靴の入った袋や箱には、ESCADA(エスカーダ)とかJIMMY CHOO(ジミーチュウ)とか、真奈美が今まで見たことも聞いたこともないような文字が書かれている。全身のケアを終えた真奈美は、自分の好みに関係なくそれらの服や靴を試着させられ、アポロンの前に引き出される。アポロンが首を横に振れば次の試着へ。5回の試着を繰り返して、ようやくアポロンの首が縦に振れた。そして最後にヘアセットとメイクの仕上げ。ガラス窓に映る見たこともない自分はこうして誕生した。
正直に言って、そこまで磨いた自分が綺麗なのかどうか真奈美自身には解らなかった。ただこの格好だったら、自分は女だとすぐわかってもらえるだろうという確信だけは持った。アポロンは、今の自分をどう思っているのだろう。少し気になる。しかし一方で、真奈美の意思に関係なく、勝手に真奈美を磨き、あたかも人形を着飾るように扱うアポロンの強引さに、少し腹が立ってもいた。アポロンはひとこともしゃべらず、ただ黙々とナイフとフォークを動かしている。
「あの…。」
「なんだ。」
「お会いするのに…なんでエステ行ったり、服を着替えたりしなければならないんでしょうか。」
「気に入らないか?」
「いえ…エステなんて今まで行ったこともなくていい経験になったし、服も素敵だと思いますが…ただ、お金持ちのお遊びで私を呼び付けたのなら、それにお付き合いできるほど私も暇じゃないので…。」
アポロンはナイフとフォークを持つ手を止めた。そして、あの緑がかった瞳でまた真奈美を見つめる。また彼女の身体が縛られたように動かなくなる。
「俺は、女である君と話しがしたかった。しかしあんな格好で来られると、話しをする気が失せる。」
「話しがあるなら早く…。」
「とにかく。」
アポロンは不満げな真奈美の言葉を遮った。
その間アポロンは、電話で指示を飛ばし、次々と服と靴をエスティックサロンへ運ばせた。服や靴の入った袋や箱には、ESCADA(エスカーダ)とかJIMMY CHOO(ジミーチュウ)とか、真奈美が今まで見たことも聞いたこともないような文字が書かれている。全身のケアを終えた真奈美は、自分の好みに関係なくそれらの服や靴を試着させられ、アポロンの前に引き出される。アポロンが首を横に振れば次の試着へ。5回の試着を繰り返して、ようやくアポロンの首が縦に振れた。そして最後にヘアセットとメイクの仕上げ。ガラス窓に映る見たこともない自分はこうして誕生した。
正直に言って、そこまで磨いた自分が綺麗なのかどうか真奈美自身には解らなかった。ただこの格好だったら、自分は女だとすぐわかってもらえるだろうという確信だけは持った。アポロンは、今の自分をどう思っているのだろう。少し気になる。しかし一方で、真奈美の意思に関係なく、勝手に真奈美を磨き、あたかも人形を着飾るように扱うアポロンの強引さに、少し腹が立ってもいた。アポロンはひとこともしゃべらず、ただ黙々とナイフとフォークを動かしている。
「あの…。」
「なんだ。」
「お会いするのに…なんでエステ行ったり、服を着替えたりしなければならないんでしょうか。」
「気に入らないか?」
「いえ…エステなんて今まで行ったこともなくていい経験になったし、服も素敵だと思いますが…ただ、お金持ちのお遊びで私を呼び付けたのなら、それにお付き合いできるほど私も暇じゃないので…。」
アポロンはナイフとフォークを持つ手を止めた。そして、あの緑がかった瞳でまた真奈美を見つめる。また彼女の身体が縛られたように動かなくなる。
「俺は、女である君と話しがしたかった。しかしあんな格好で来られると、話しをする気が失せる。」
「話しがあるなら早く…。」
「とにかく。」
アポロンは不満げな真奈美の言葉を遮った。



