また今年も夏が来た。






煩い程の蝉の声が耳を劈く。

周りには緑の山、青々とした田畑、緩やかに流れる川。

綺麗に舗装されたコンクリートの道路など無く、存在するのは土と砂利の凸凹の小道。

「…………懐かしい。」

ふと思い出す感覚と溢れてくる涙。

「またこれだ……。」

誰もいない自然に囲まれた場所で一人、涙を流す少女が居た。