「ただいまー」



塾へ迎えに行って、いつもなら璃久の家の前でのバイバイもしない。


こんな幸せがあってもいーの、ねぇ!?


ドキドキしながら玄関に一歩踏み入れると



「おかえりー。って、あれ大石?」



携帯片手に階段から降りて来た神楽が、驚いた顔を見せた。



「あ、久しぶり」

「おぉ、久しぶり」

「お邪魔するね」

「おぉ、どーぞ。って、え? 今日約束してたっけ?」



一度、携帯に戻した視線を慌ててあたしに向け直した。