「お前、めっちゃムカツク」
またギュッと抱き締められた腕が強くなった。
もう少しで理解出来そうだったのに、
璃久の一言にあたしの頭の中は振り出しに戻る。
ムカツク?
えーっと……何に?
ムカツクのにキス?
この状況?
「おい、何固まってんねん」
ふいに緩くなった腕が解け、
ハチミツ色の前髪から覗く目と目が合った。
その瞬間、一気に熱くなったあたしの頬。
上下左右に泳ぐ目。
何を言ったらいいのかすら、わかんない。
だって、だって、だってー!
あたしの両肩には璃久の両腕が乗っかってて。
顔なんて息がかかるくらいに近くて。
てか前髪触れてるし。
こんな状況なのに、璃久はあたしを真っ直ぐに見つめてるんだもん。
どーしていいかなんて、わかんないよー!

