「え、もう今から?」
「そうよ。今行ってきてちょうだい。
焼きたてが一番美味しいんだから、それ。」
はいはい、どうせ暇人ですよー。
と、言いながら
渋々バックを抱えて家を出る。
光太郎のお家は迎えにあるから
行き来が本当に楽。
光太郎、丁度部活でいないからいいか。
さおりさんお仕事お休みだといいんだけど。
わたしは光太郎の家のインターフォンを鳴らす。
ピンポーン、とコール音が響く。
もう一回わたしは鳴らすも
誰も出てくる気配は無かった。
さおりさんお仕事かな…。
じゃあドアノブにかけておけばわかってくれるよね。
わたしは一応、光太郎宛に
“ドアノブにリンゴのケーキ置いた。”
とだけ、メールをいれた。
そしてリンゴのケーキが入った袋を
そっとドアノブへ掛けた。


