「ただいま。」
「あれ、マコ今日は帰り早かったんだね。」
家に着き、リビングへの扉を開けると
美味しそうな甘い匂いが広がった。
お母さんがどうやらケーキを焼いていたみたい。
「すっご〜い。
今日はリンゴのケーキなの?」
わたしがつまみ食いをしようとすると
お母さんから手を弾かれた。
「これは他所に持っていくやつだから
食べちゃだめよ。」
「え〜ケチ〜。
またさおりさんの所?」
そうよ。もう袋に詰めちゃうから
届けに行ってきてね。と、母はご機嫌だ。
「さおりさんの所に届けるのは
全然いいんだけど
光太郎と今喧嘩中だから嫌だな〜。」
わたしは口を尖らせてリビングの
ソファにどかっと座った。


