幡山くんと別れてから 家に入ろうと玄関のドアに手を掛けた時だった。 「ばかマコ!」 急に名前を呼ばれて慌てて後ろを振り返ると 部活帰りの光太郎が居た。 「げ!光太郎!」 「げ、とは何だよ! てか、それより今の何なわけ? お前いつの間に幡山渚と仲良くなってんだよ。」 ずいずいと、エナメルバッグを背負った光太郎が近付いてくる。 うわ、最悪…。 まさかよりによって光太郎に見られちゃうなんて。 わたしは眉間にシワを寄せた。 「たまたま帰りが一緒で、 送ってもらっただけだもん。」