幡山くんが自転車を漕ぎ出すと
気持ちの良い風が吹いた。
やっぱりわたし、この道が大好き。
幡山くんに、自分の家までの道なりを
細かく教える。
さすがごりごりの男友達を
後ろに乗っけていることもあって
自転車の運転がとても上手だった。
「なんだ、黒川ん家
ばぁちゃん家からめちゃめちゃ近いんじゃん。」
「そうだよ、だから送ってもらうのは
申し訳なかったんだけど…。」
と、わたしは自転車に降りながら
幡山くんに言った。
大体自転車だと五分くらいで着いてしまうし、それにこの辺は知り合いばかりだから
変な人がもし出たとしても
すぐわかるから大丈夫、きっと。


