そんな事を思い出しては、わたしは
つい顔をにやつかせた。
光太郎があんな事を言ってくれなければ
ずっと一人ぼっちだったかもしれない。
「ねぇ、どうして幡山くんは
わたしが無理して笑ってると思ったの?」
わたしは起き上がって
幡山くんに問い掛けた。
それにつられて幡山くんも
よいっしょと上半身を起こした。
「いや、本音で話してるような気がしなかったんだ。
黒川、周りに合わせてばっかりじゃない?」
そんな事を幡山くんに言われて
少し心がチクっとした。
「黒川がやりたい事、したい事、誰かにちゃんと話したことある?」
「やりたいこと…。」
「そう、食べたい物とかなんでも。
あいつらに。
この前のお弁当、本当は食べなきゃって思ってたのに食べなかっただろ。
あれって本当は約束なんかしてなかったんじゃないの?」
確かにそう言われてみれば
もしかしたらそうだったのかもしれない。
周りに言われては自分の意見が言えなかったのかな。
「確かに、わたし…
今まで自分の意見なんてなに一つ言ってなかったかも。」
たんぽぽの花が大きく左右に揺れて
風が吹いているのが目に見えても感じた。


