「あいつ、シケてるよな。」 ぼそっと隣の席から独り言の様に 幼馴染の井草光太郎が声をかけてきたのは、二限の授業の事だった。 あいつって?っと、 わたしが聞き返すと あいつはあいつしか居ねぇだろ。と 言わんばかりに、 んっと口を尖らせて一番前の窓側に座る “あいつ”こと、幡山渚を指さした。 「都会から来たかなんか知らねーけど 浮き過ぎなんだよな。」