「おばあちゃんこっちの人なんだ!
てことは何回も昔から来てたの?」
「んー、まぁ一年に一回来るか来ないかくらいかな。
こっち何も遊ぶ場所ねぇしさ。」
「は、はぁ…。」
あなたが遊ぶ場所ねぇしさ、
と言っている場所でわたしは十七年間育って来ているんですけどねぇ。
幡山くんはわたしに何も問い掛ける事はなく
ただ時間が過ぎて行くだけだった。
気まずい。
まず、何故、わたしは、
この前転校してきたばかりの?
転校生くんと?
何故、駄菓子屋の前に二人して
座っているのか。
ましてや会話すらしたことのない彼と。
いきなりわたしのお弁当をたいらげた彼と。
沈黙が流れる度、わたしは
自分のこころに問い掛けるしかなかった。
目の前をサーっと心地よい風が吹いた時、
幡山くんはやっと口を開いた。


