「いや、わかってるからって、
そいつらに言わないわけ?」
こんな事までされて黙ってるなんて
ありえないだろって、
俺がぶん殴って来るって、
俺は少しイライラしてしまっていた。
「なんで幡山がイラついてんのよ。
ありがとう、うちの事心配してくれてんのね。
でも本人達に言ったら可哀相じゃん。」
遠野は履いていた上履きをロッカーにしまい
持っていた汚れたローファーを履き歩きだす。
「いやいや。可哀相なのはお前だろ。
悔しくないのかよ。」
「そりゃ、悔しいよ。
でももう卒業で皆とお別れなんだし、だったら
最後まで気付かないふりして
楽しく終わりたいなって。」
そうすれば誰も傷付かずに済むでしょ。
そう言って笑う遠野にどきっとした。
「遠野、強いな。」
「そう、つえーってやつよ。」
こんな風に遠野と会話したのは
本当に卒業する少し前の事だった。


