「荻野、お前、ひどい顔だな」

「そうですか?」

「ちゃんと飯食ってるのか?」

「ぼちぼち」


ぼちぼちって何だよと突っ込まれたが、
最後に飯食ったのがいつなのかも
何を食ったのかも思い出せないのだから
ぼちぼちとゆうしかない。


「ちょっと一服してしてきたらどうだ。」


今、一息ついただけで
意識が飛びそうになったのに
一服なんてしてられない。
仕事に戻れなくなる。


「そんな暇ありません」


そう言って仕事に取りかかろうとしたのに
課長の言葉はまだ続いた。


「暇を作れ。これは課長命令だ」

「は?」


しつこいなと思って
課長の方に顔を向けると、
いつもの穏やかそうな顔をしつつも
少し怒気を含んだ目をしていた。

(げ、怒ってる。)

付き合いの長い課長には
疲れて限界が近いことなど
お見通しなのだろう。


「わかりましたよ」


渋々、席を立ってフロアを出た。