き み さ え い れ ば 。


そんなことを考えていると、
フロアにほかの部署の人が入ってきた。


「失礼します。
荻野さん、いますか?」

「荻野は今、席を外してますが?
なにかご用ですか?」

「ええ?14時から会議するって
言ってたのになぁ……」


時計は10分をさしていた。

荻野さんが時間に遅れたり
約束を忘れたりすることはなかった。

会話を聞いて不安になったわたしは
課長の方を見た。

課長は携帯を取り出して
荻野さんに連絡しているようだった。
繋がらなかったのか
しばらくして無言で電話を切った。

するとわたしの方を見て、


「高山くん、
ちょっと荻野を探してきてくれるか」


と、言った。


『はいっ』


すぐさま立ち上がり、フロアを飛び出した。