「……」

『……(気まずい)』


黙々と手を動かすわたしの横で、
何も言わず見続ける彼。

今までついてくれていた先輩は、
何かしら雑談や助言をしてくれていたし
少しだけど仕事を手伝ってくれたりしていた。

けど彼は、話す気配も動く気配もなく、
ただ腕を組んで、わたしの仕事をみていた。

気まずさに耐えかねたわたしは、
声をかけることにした。


『見られてると緊張しますね』


ありきたりだけど、
話さないよりはマシだと思った。


「そりゃそうだろ。
俺も見られるのは嫌いだ」


仏頂面で怒ってるのかと思ってたけど
話かけると案外普通に返事をしてくれた。