藤「おい!どうしたんだよ⁉」
 竹刀の奴の体を揺するが反応がない。でも、息はあるようだ。
 竹刀の奴の顔からは大量の血が出ている。
 沖「これだけ出血してるんだから、普通はこうなるでしょ?
   あんな動きして、これだけ保ったんだから逆にすごいよ」
 藤「まあ、それもそうだな
   で、こいつどうする?」
 沖「屯所に連れて行くよ?もちろん」
 藤「どうやって?」
 沖「平助、本当に頭悪いね?
   おんぶに決まってるでしょ?」
 藤「...誰がおんぶすんだよ?」
 俺と総司は揃って一君の方を向く。
 斉「俺か?」
 沖「うん、一番力強いし」
 藤「うん、そうそう」
 斉「わかった」
 そう言うと一君は、器用に竹刀の奴をおんぶする。
 一君は、その時、少し驚いたような顔をしたが、すぐに歩き出す。
 藤「この荷物どうすんだ?」
 沖「平助、持って」
 藤「いいけど、これだけ持て」
 と、俺は竹刀と縦に長い巾着のようなものを2つ総司に渡す。
 沖「これ、なんだろう?」
 総司は、巾着のようなものを開けて、中身をみる。
 沖「矢?それにこっちは弓?」
 藤「矢にしては、尖ってないな?」
 斉「2人共急げ」
 沖「その子、そんな重くないでしょ?」
 斉「そうだが、この体勢は少し、な」
 そう言う、一君の顔は少し赤かった。