彼に言われるまま
私は、玄関の扉を開けた。



『た…ただいまー』




「どうしたの?こんな時間まで
心配したじゃない!」



待ち構えていたかのように
少し眉を吊り上げたお母さんが
リビングから顔を出した。


『途中で友達に逢って…
…ごめんなさい』


「もう!遅くなるなら
連絡くらい頂戴よ!」


『う…うん、気をつける…』



お母さんと話しながらも
彼のことが気になっていた。



「ご飯温めるから
早く着替えてきてね」


『うん、ありがとう』



階段を駆け上り
部屋のドアを開けた。




真っ暗な部屋に…人影?




『……はっ!?』




彼だった。





本当に!?

窓から入ってきたんだ!?




「そんなに、驚かないで」




驚くに決まってる!


驚くなって言う方が無理だよ!




どうしよう…




そんな私の心配を余所に



「ご飯食べてきなよ」


と、優しく言ったかと思うと
クスクスと笑い出した。