もっと
彼のことを知りたい


もっと
彼のことを見てたい



そう思った。



だけど、次の角を曲がれば
家はもう直ぐだった。


このまま、この不思議な夜は
終わってしまうのかな。





『……家、ここです』



彼は、立ち止まった。





『送って頂いて
ありがとうございました』



「ううん」



そう言うと、彼は
繋いだ右手をそっと緩め

その手を肩に回すと
私を引き寄せた。



緊張で、肩が震えた。



「…愛舞?…震えてるの?」



彼は、私の頬を両手で包むと

前髪に唇を寄せ
優しくキスをした。




「ほら、寒いから家に入って」



そう言って視線を反らすと

数秒間、考え込むように沈黙し


「じゃあ…俺は
窓から入るから」


と、続けた。






『え?……ど…どう言うこと!?」