お月様はもう
随分高いところまで
登っていた。
こちらを振り向くこともなく
彼は、歩き続けた。
冷たい夜風に吹かれて
透き通るような金色の髪が
サラサラと流れ
長い前髪の隙間から
ロシアンブルーの瞳が覗いた。
色白というよりも
蒼白とも思える、皮膚色。
月の光は
色とりどりの光の粒のように
キラキラと輝き
彼のシルエットを
映し出していた。
『……妖精…?』
思わず、そんな言葉が
口からこぼれ出た。
まるで妖精のように
彼は神秘的で綺麗だった。
「…何?」
『……はっ!』
「……ん?」
『…あの、綺麗な人だなって…思って』
彼はクスッと鼻で笑った。

